江戸時代の名経営者、上杉鷹山
上杉鷹山、江戸時代に藩政改革を行い、破綻寸前の藩の借金を全て返済し、蓄えを作るまでにした名藩士、名経営者です。
会社の研修の中の課題として、「上杉鷹山の経営学」を読んでいます。
230ページ程度でボリュームは多くありませんが、この薄い文庫本には、とても多くの学びがちりばめられています。
上杉鷹山の経営学―危機を乗り切るリーダーの条件 (PHP文庫)
- 作者: 童門冬二
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 1990/08/01
- メディア: 文庫
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上杉鷹山は、あのケネディ大統領が、最も尊敬する日本人として名前を挙げるほどの偉人。
私も以前、ドラマを見たことがありましたが、
・米沢藩主
・藩を立て直した人
・自分でも鍬をもって畑を耕した(ドラマの一幕)
・為せば成る~の名言を残した人
という程度のイメージしか持っていませんでした。
恥ずかしながら、具体的にどのようなことを成し遂げた人なのか、分かっておりませんでした。
この機会にじっくりと読んでみましたが、その人となりに引き込まれます。
組織論的な視点、リーダーシップのありかた等、非常に多くの学びがあります。
・誤りを改めるのであれば朝令暮改を恐れるな
・改革は何をするかよりも、誰が言っているかに左右される
・改革の主体たる自信が、誰よりも率先して行う
・ただのトップダウンではなく、ハンズオンによる一体感
・どうしても動かないのであれば、現在の重役のクビも切る
・ただし、厳しさだけではなく、赦すことも忘れずに。
そして最も重要だと感じたのは、改革最大の功労者であっても、道を外したのならしっかりと罰するということ。
つまり、泣いて馬謖を斬る場面。
諸葛孔明の愛弟子でしたが、命に背いて山に陣取った結果、退路を断たれて軍を死地に追いやることになりました。
命からがら逃げ伸びるも、その責任からは逃れられず、処刑されてしまいました。
諸葛孔明としては苦しい決断ですが、私情を捨てて軍規を正した、という場面です。
とても感動的なシーンであり、政治や軍といった組織の規律がいかに重たいものかを教えてくれます。
鷹山も同様に、竹俣という改革の大功労者であっても、その不正を見逃せばこれまでの改革が水の泡になると、処罰をする決断をしました。
これはなかなかできるものではありません。
現代でもなんらかわるものでもありません。
一緒にやってきた仲間だった者が不正を働いたとき、大きな過ちをおかしたとき、厳粛な判断をできるか否か。
これにより、その他の従業員の組織に対するエンゲージメント、プロジェクトに対するコミットメントに大きな影響が出ます。
居ませんか?責任を取るべき人が、配置換えされただけで同じ役職にとどまっていたりすること。
上からすると、彼も功労者、咎めるのは気が引ける、といった程度なのかもしれません。
でも、下の人達は上の人が思っている以上に敏感に感じ取り、トップに対してしらけてしまいます。
改革途上でなくても、日常であっても、こういったシラケは組織を停滞させます。
それを避けるには、泣こうが辛かろうが、馬謖を切らなければなりません。
経営者として、トップに立つ者として、一番見られているのはこういう部分なのだと思います。
厳格な信賞必罰こそが、構成員を組織にコミットさせる最大のカンフル剤。
サラリーマンとして、まだまだ上に立つレベルではありませんが、常にこういうことを意識しながら組織人としてやっていきたいですね。