おそらく最後から二番目の投稿。
また約一年ぶりの投稿になります。
この度、課長に昇進しました。
社内比ですが、最短で係長になり、また最短で課長です。
短かった係長という肩書ですが、いろいろな経験ができました。
しばらく前から、転職エージェントと言うんでしょうか、人材会社からスカウトのお誘いをいただくようになり、いくつか具体的な企業の話を伺いました。
今はまだ職場を変えるフェーズではないと思っているので転職はしませんが、お誘いいただいた企業の社長とお話をする機会もいただいたり。
気はないのに誘いに乗るのかと思われるかもしれませんが、社外での自分の価値を知っておくことは、今後社内に残り続けるとしても、とても大切なことです。
井の中の蛙大海を知らずといいますし、どんどん外の世界は知るべきです。
今後のキャリアアップに向けて、まずは「中間管理職」というものをしっかりとやり抜き、また二年ほどかけて足場を固めたいと思います。
ヒエラルキーを上がれば上がるほど、今までのペースで登ることは難しくなりますが、世の中的には30台部長も珍しいわけでもないので、社内外両方に目を向け天秤にかけながら、着実に進んでいきたいと思います。
行政書士については、登録から4年経過しましたが、結局大きく動くことはできず。
残念ながら、あまりシナジーを生み出せませんでした。
ただ、自社の業務の中で許認可が必要な事業を行うことになった際、会の研修に参加したり、資料をいただくことができたのは役に立ちました。
社内の業務として許認可に携わってきた中で自分がこの仕事に向いているかと考えると、正直、あまり向いていないように感じました。
上記の通り、いくつかの許認可申請を行う際、いくつかの行政の窓口でやり取りを重ね、その中で思いがつのりました。
企業の観点からすると、行政はあまりに効率が悪い業務フローが多く、いったい何のための窓口なのかと。
行政書士は、市民や企業のために書類作成、申請を代理で行うわけですが、どちらかというとサポートを欲しているのは市民ではなく、行政なのでは?と。
そう感じてしまったら、あえて二足の草鞋をしてまで、自分はやれないなと思うようになりました。
もっと事業に寄与することに注力したいし、足取りの遅い窓口のサポートと感じてしまった以上、やりがいを感じられないと…。
無論、これは私自身の感じ方なので、そう感じない人も多くいると思いますし、この仕事を否定するものではありません。
また、何人かの先輩の先生にはいろいろと教わり、感謝もしています。
他人をサポートをするということは自分に合っているとは思いますが、あくまで自分にとってのその方法、あり方は、行政書士ではなかったのかなと。
社内で様々な経験をする中で、改めて、企業の中からサポートするのが面白いと思えてきたということもあります。
当初、未知の世界に足を踏み入れたいという気持ちもあって登録した行政書士。
5年で開業費の償却も終わるので、そのタイミングが一つの目安かなと思っています。
中小企業診断士についても同じく。
やはり外からのサポートではなく、社内でやりたい。
そう考えると、先に中間管理職へたどり着いてしまえば、資格の肩書も不要かなと。
無論、資格はただの肩書ではなく、特定の業務などに必要な知識群を体系的に学べる利点があります。
中小企業診断士の勉強をする中で、組織論とファイナンス、この二つはとても大事なことだということに気づかされました。
資格の勉強からは身を引くとしても、この二つは今後、より突き詰めていきたいと考えています。
この一年ブログをかけずに来てしまったのは、飽きてしまったというより仕事がとても忙しかったこと、問題も山積ですがそれがそのまま遣り甲斐につながっていたため、力の入れる方向が会社の仕事に向いていた一年であり、それがブログ離れしてしまった原因の一つです。
頑張りが実を結び、課長となりました。
新任なのでこれからまだ少しばたばたするかなと思いますが、少しすれば余裕も出てくるかと思います。
これまでは、係長としてプレイングマネージャー的に仕事を行っていたので、部下のこともみつつ、自分のしたいこともするので、時間に追われていました。
今後はプレイングはみんなに任せ、自身はマネジメントに専念することで、時間の余裕を作りつつ課のみんなが実務に注力しやすい環境を作っていきたい。
残業も少なくなればまた本を読む時間も取り戻せる。
そうすればブログも書けます、が、タイトルにある通り、ブログはおそらくもうやりません。
ここももう長らく放置してしまったので、もう一度ここでねじを巻くのもどうかなと。
見出しの付け方や目次のつくり方なども忘れてしまったので、ここに固執する必要もないのかなと。
そして、また新しいことをやってみたくなりました。
それは、YouTubeです。
これまでブログに書いてきたものを再度整理し、コンテンツを文字から動画に移行しつつ、こちらは縮小していくつもりです。
なぜYouTubeなのかと言えば、単に面白そうと思ったから。
それ以上の理由は必要ありません。
シンプルに、思うままに。
以上。
久しぶりの投稿は、課長昇進と、媒体移行(予定)のお知らせでした。
まだ準備段階ですし、実際に始めるかはわかりませんが、次回、このブログ最後の投稿、閉鎖の挨拶は、YouTubeのチャンネル開設のお知らせとともに出来たらいいなと思います。
フェードアウトを防ぐための近況報告。
お久しぶりです。
「しばらくお休みします」という断りもなく、急に数か月もの間ご無沙汰しておりました。
何をしていたかというと、仕事と試験勉強です。
というか、ほぼ仕事です。
ある日突然、直属の上司の出向が通達され、私の「再来年度課長昇進計画」はほぼ崩れ去りました。
その変わり、これまでの上司よりさらに年配の方が新しい上司になりました。
上司の出向については色々とやむを得ない事情もあるのですが、新しい上司爆誕の陰には社長の「彼にもチャンスを!」の一言が…。
部長兼任の常務も苦笑いしながらも何も言えず…。
人にチャンスを与えるということは、他の人たちからチャンスを奪うという事。
トレードオフの関係にあるということを忘れないでいただきたい。
これを成長の場に~とも言われましたが、私はあまり受動的ではないので、常に成長の場を漁ってます。
なんなら会社の外へ探しに行かないでもない。
さてこの人事、新上司本人は青天の霹靂だったようですが、それでもイエスマンなので「やります」と言ってしまい、現在に至る。
ただ、自分が任される心構え、やる気は本当になかったようで、日に日に「○○さんが言ったから」を連呼するようになりました。
○○さんとは元の上司です。
元上司が同じ組織の中で昇進したのならともかく、今や出向してしまった方。
それならば、あなたが違うと思ったならやり方変えればいいし、部下になった人たちのことを考えて指示、行動してよ!と思いますよね。
でも、駄々っ子のように「だって○○さんが言ったもん!」と言い張ります。
大の大人がそんなこと言う?と思われるかもしれませんが、本当に言うんです。
新上司爆誕からまだ一ヶ月ですが、早くも不安と不満の声が蔓延しています。
私はと言えば、組織の体制も変わり、部下も増え、会議も発言する立場から回す立場になりました。
これも新しい会議体のため、お盆休み返上で作り上げました。
たまたま課内でOffice365を導入することになったので、これを用いて情報伝達フローも一から作り直し、Teamsというコミュニケーションツールの中で、極力全てが完結するようにしました。
このTeamsを使った体制については機会があれば別途エントリーしたいと思います。
そんなこんなで、動かぬ新上司に代わって部長兼任常務へ種々提言しつつ、下にも新体制のビジョン定着、意識付け、IT教育とそのためのインフラ整備を行っています。
本当にその通りに動いてもらうのは難しいですが、自分の思い、ビジョンを語るのは楽しい。
めちゃめちゃ忙しいですが、そりゃ楽しいですよね。
こんなに楽しいのに、なんで社長はやらないんだろうと不思議に思っています。
ただ、そんな忙しい中でも、様々な催し物に足を運ぶことは辞めません。
むしろ、役職は係長のままであっても、グループを管理するポジションになったため、情報収集の場に参加する必要性は増したと思っています。
ちょっと計画はくるってしまいましたし、悶々とする日も多いですが、概ね相変わらずです。
自分のやりたいことをやるために、自分で企画、発案、提案、推進、導入、管理、なんでもやることを厭わない。
モチベーションは自分の中から日々湧き出てきます。
楽しさだけでなく、悔しさもモチベーションの重要なファクターです。
きっと、そう考えながら最前線で戦っていると、おのずと切り拓けるんじゃないかと思っています。
今までそうして切り拓いてきましたし、今度もやはり、それで突破できる、かも。
目指すは、部の中で新しい課を新設し、その初代課長の座!
または、特命係長としてピンポイントに課題解決ばかり扱う立場を拝命する!
と、言い切ったところで、締めさせていただきます。
ブログを書くのが久しぶり過ぎて、レイアウトとかどうしてたか忘れがちです…。
とりとめのない文章ですが、これ以上ご無沙汰すると完全にフェードアウトしそうなので、書いてみました。
そして、熱しやすい性格なので、これを機にまたわーっと書き始めるかもしれません。
乞うご期待!
「部下が上司をサポートする」という古から伝わるサラリーマンあるある(ただし大間違い)。
サラリーマン人生に思わぬ人事はつきものです。
先日、私の上司である課長がグループ子会社への出向が決まりました。
今日はその経緯と、その後に常務から言われた「上司をしっかりサポートするように」という言葉に対する私見をつらつらと、書いていきます。
ことのおこり
まずはことのおこりから。
今回課長が出向を命じられたグループ子会社で昨年、総務経理部門で将来を担うはずだった方が、諸事情により退職してしまいました。
そして、その方に引き継いで定年退職するつもりだった現在の部長も、引き継ぐ相手がいないのでやめるにやめられず、延長してもらっている状況です。
そんな現状を打破するために、今回の人事が決定しました。
ただ、急場しのぎの穴埋めというわけではなく、課長の今後のキャリアを考えて、一旦グループ子会社で部長を、ということらしいです。
では残された我々はというところが一番気になるところですが、「出向」を聞いた瞬間に、私の中で組織図が組み替えられました。
私が上に!!というのが私の野望ですが、今年係長になったばかりですので、昇格条件を満たしておりません。
横を見れば、同じ係長に就いてから数年経過している10歳も上の先輩がいます。
まぁ現在の諸規程に従えば、先輩が上がるしか選択肢はありません。
そして案の定、「これからは君に課をマネジメントしてもらいます」と、部長兼任の常務からのお言葉。
その場では「課長」という役職は出ませんでしたが、その後常務とサシで飲みに行き、根掘り葉掘り聞きだしました。
先輩は課長にはならないが、課長代理になるとのこと。
代理といっても、本当の課長や、課の長となる人物が他にいるわけではないので、実質課長です。
さらに色々と聞きましたが、現在一つの部、一つの課で総務、経理、法務等を行っているところを、将来的には分業させて一翼を私に任せたいとのこと。
ですので、先輩がさらに上にあがるまで忍び難きを忍ばなければならないのかといえば、そうでもないようです。
ただ、一時的ではあれ、先輩が私の上司になり、その下で仕事をするということになります。
これはかなり私の心をザワつかせました。
私の上司になる先輩とは…
というのもこの先輩、課内外からかなり顰蹙を買っている方なのです。
すぐにマウントをとる、自分で考えずに1から10まで聞いてくる、「上司の指示なので」ならまだしも「○○さん(部下)が言ったので」と、自分で責任を負わない、などなど。
最近では後輩である私にまで1から10まで聞いてくる始末。
私以外の課員もかなり不安に思っていて、珍しく定時後にぶちまけられました。
先輩と一番長く仕事をしている方からは「異動願いだそうかな…」とも…。
常務とのサシ飲みの際にも、そういった諸事情は知っていますよね?と聞くと、やはり不安がっていました。
規程に従えば、課長というポジションに就ける人は先輩しかいません。
子会社のどたばたがあって、急な人事やむなしというのも理解できます。
一方で、課長が子会社に行けばグループ間連携もとりやすくなるので、その意味ではワクワクしています。
でも、残された我々の社内の立場と課としての歩みのスピードは…どうなのか…。
上司はサポートされる側なのか?
そのような私と課員の不安を常務にぶちまけると、「まぁ、上司となる彼をサポートしてあげてくれ~」と投げ返されました。
その球はその場で打ち返したのですが、酔いも覚めて、改めて考えれば考えるほどに、「上司をサポート」ってなんだよという思いがこみ上げてきました。
そもそも、私は上司をサポートしたことなんて、ほとんど記憶にありません。
私のやっていることが結果的に上司をサポートすることに繋がっていることはあるでしょう。
でも、支えようとしてサポートしたということはほぼないと思います。
私自身、上司はサポートするものだと思っていないからです。
だってそうでしょう?
実際に手を動かしているのが誰なのかを考えてください。
実働部隊、兵隊はいつだって末端に決まっています。
その事業、業務の顔になってくるのは末端で手を動かしている人たちなのです。
やることは上から降ってきますが、それを意味付けして、課員をモチベートして、成果を出せる環境を諸々そろえてあげるのが上司の役目。
ここで使い古された話をひとつ。
課長、管理職は英語で"Maneger"ですが、これは動詞の"Manege"からきています。
"Manage"には「経営する」という意味もありますが、辞書では「どうにかする、なんとかする」という意味のほうが先に来ます。
つまり上司の仕事はプレイングする人たちをマネッジすることなんです。
課をマネッジするということは、課員をマネッジすることもあれば、課員のボトルネックをマネッジすることもあるでしょう。
課員が走っているそばで、転ばないように石を取り除いたり、水を差しだしたり、順路を指し示すのです。
そう考えると、上司と部下、どちらがサポートでしょうか。
もちろん、サポートするのは上司、マネージャーですね。
部下をサポートするのが上司の役目
組織のヒエラルキーとしては、主任、係長、課長と、上に行くほどに権限を持ち、いわゆる「偉い人」となっていきます。
ただ、役回りとしてはサポートが主となっていきます。
私はずっとそのような考え方で、「上司は使うもの」を公言してきました。
こちらのエントリーでも軽く触れていますね。
「使う」といっても、雑用を頼むというわけではなく、私が仕事をする上でボトルネックとなる他部署との橋渡しや権限委譲や上申の権威付けを「よろしくお願いします!」ということです。
今までの課長もそうだし、常務にも普段からそのようなお願いをどんどん投げて、そして地ならしをしていただきました。
そのことは常々感謝の念に堪えませんし、それゆえにこれから私の上司となる先輩に対する不安が絶えないのです…。
数字の管理はただの成績表
ちなみに、管理職というと数字を管理するというのも仕事の一つです。
中にはこれを主だと思い違いしている方もいるのかもしれませんが、数字の管理はマネッジの進捗と結果を表す成績表です。
マネッジした結果の数字だからこそ、管理職である課長の成績になるのです。
課員のボトルネックを取り除いてあげることで、課員はより多くのスループットを生み出してくれます。
そうして予算大幅超過達成となり、成績表はオールAに近づきます。
逆にゴールから考えれば、オールAを目指してどうマネッジしていくのかを考えるのがマネージャーの仕事ということになりますね。
サーバントリーダーシップ
私は昔から「上司は使うもの」と思ってきましたが、そういった考え方(厳密には違いますが)は、もう何十年も前から体系化されているようです。
『サーバントリーダーシップ』という本が1977年に書かれています。
日本では2008年に翻訳されており、組織人事のビジネス書を読むと、『サーバントリーダーシップ』や著者であるグリーンリーフの名前が度々出てきます。
このブログの他のエントリーでも、何度か出てきた言葉ですね。
その他、講演会などでも耳にしますし、現代にもっとも求められるリーダーシップ像ということなのでしょう。
上司のサポートで現場はスムーズに動きだす。
そもそも、ですが、部下がやっていることというのはなんなのでしょうか。
どんどん川上へと遡っていくと、そこには社長のビジョンやミッション、理念があるはずです。
それがタテマエでもオダイモクであっても、どんな会社にも一応はあるはずです。
それに沿って(これもタテマエということもありますが)事業領域が決められ、AsIs-ToBeのギャップが認識され、埋めるための中長期計画が組まれ、年度、月次計画となり、日々の行動に落とし込まれます。
抽象的だったビジョンが具体的な行動になるにつれ、社長から取締役、部長、課長、係長、主任へと責任も降りてきます。
そうして細分化された業務を、末端、部下がこなしていくことになります。
社長がどれだけのビジョンを持っていても、末端が動いてくれなければなんにもなりません。
だからヒエラルキーの頂点にいる社長が、マネッジしていくことになります。
もちろん、その役職ごとでマネッジの方法は異なるので、社長と課長がやることも当然異なります。
それでも、「サポートする」ということは変わりません。
社長は自分のビジョンを達成するために、従業員を雇いますが、オフィスやパソコンや設備がなければ、従業員は働けません。
また、従業員が生活に不安を抱かずに働けるように給料も払わなければなりません。
社長はヒト・モノ・カネといったリソースをマネッジすることで会社をサポートしますが、このヒト・モノ・カネも、細分化されて部長の裁量、課長の裁量へと振り分けられます。
この振り分けられた裁量を奮って、さらに下、現場の人たちをマネッジすることになります。
つまりは上司が現場をサポートして、さらに上、またさらに上の上司がそれぞれサポートすることで、末端である現場はスムーズに動きだすのです。
ほとんど持論ですが、私のサラリーマン哲学です。
「上司は使うもの」
「上司は部下をサポートする」
まとめ的なもの
もう一度言いますが、私の持論です。
べき論で語るつもりもありませんし、組織の段階や文化が違えば、それぞれに合った「あり方」があると思います。
私もやっと考課者となり、課員の目標を定めるようなポジションになりました。
これをやってほしいとお願いしつつ、一言、いつでも相談にのるし、上司は使ってよと伝えています。
一回目では「そうはいっても…」と思われるかもしれません。
今後の面談のたびに、そういった雰囲気を醸成し、関係性を作っていくのが係長の仕事です。
一般的にはマネージャーというのは管理職、課長級以上を指します。
ただ、現在の役職に応じたマネッジのあり方については、常に考えていく必要があります。
それはもちろん、将来を見据えて、という意味もあります。
ひょんなことがきっかけで、このようなことを改めて考えることになりました。
でも、やはり書くと考えがまとまるものです。
私に「上司のサポートをしろ」と言うのなら、上司となる先輩が部下をサポートできるように導いていくことが、私にできるサポートかなと思いました。
もしそれでも部下をサポートできない上司であったなら、その時は下剋上、戦国時代の幕開けですね。
それがひいては課員をサポートすることに繋がるのであれば、下剋上やむなしです。
下剋上…めっちゃ面白そう…(笑)。
さて、どうなることやら。
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『コンビニ人間』に人間社会の縮図を見た。
「コンビニ」と「人間」
今日ご紹介するのは、第155回芥川賞受賞作品の『コンビニ人間』。
タイトル買い、ジャケ買いです。
「コンビニ」と「人間」が合わさってるなんて、どんな内容だろう。
便利な人間なのか、コンビニ的な人間なのか。
畳でできたビルのようなものからよくわからないものがにょきにょき、もくもく、だらだらしている表紙。
「読みたい!」と思わせるには十分です。
ページ数もないので電車の往復で読めてしまうボリューム感。
と言いながら、これまた数か月積読されていましたが。
本日は小説ですが【ネタバレあり】ですので、まだ読んでいない方はご了承ください。
全く予想外な世界感
キャッチ―(死語)なタイトルにポップな表紙。
裏表紙には、「婚活目当ての新入り」なんて書いてあるので、ライトな恋愛小説かななんて予想をしていました。
この予想は、読み始めてすぐに打ち砕かれます。
コンビニでのバイトから物語は始まりますが、すぐに主人公の生い立ちが明らかになり、「あぁ…」となります。
ひょんな出来事からコンビニで働くことになり、そこに居心地の良さを感じ、働き続けて18年。
「普通」とは何か?と帯に書かれていますが、まさに、読んでいる最中ずっと、「普通」とは何か考えさせられ続けます。
特に白羽弟の鬼嫁は、完全なる普通人。
全てについて、マニュアルに適合しているかどうかという視点からの物言いなのです。
『コンビニ人間』は人間社会の縮図
タイトルの『コンビニ人間』は、直接的には主人公を指しますが、それだけではないと感じました。
コンビニ人間の定義としては、2つあるでしょうか。
- 主人公の自覚としてのコンビニ人間
- マニュアル人間の比喩としてのコンビニ人間
後者の方は、おそらく現代社会に生きる人類全体を指しています。
いや、白羽が言うように、縄文時代から人類はコンビニ人間だったのかもしれません。
人間社会の常識というマニュアルがあって、これに適合できないとシフトから外される。
たまたま現代にその縮図のようなコンビニエンスストアができたので、このような小説がすごく的を得ているように思えます。
でも、実は人類は元々コンビニ人間だったのでしょう。
誰しもコンビニ人間か
解説にもありましたが、現代は多様性の時代だなどと言われながら、実際にはその逆を行っています。
国際政治は自国ファースト、ナショナリズム、ポピュリズム。
METOO運動もいつの間にか正しさを押し付けるばかりの人たちが参加して、ポリコレ棒を振り回しています。
セクハラやパワハラも同じ構造で、もちろん悪いことなのですが、あれもこれも一括りにセクハラ、パワハラという人が増えてきました。
職場でもセクハラやパワハラは敏感になっていますが、正しさを追い求めすぎると、息苦しいですね。
正しいとしても、価値観の押し付けは息苦しいのです。
でも、ポリティカルコレクトネスという言葉は最近のものですが、この構図自体は昔からあったもの。
過去、歴史の中では村八分や魔女裁判はポリコレと同じ構図でしょう。
正しさのマジョリティから外れるということは、マニュアルに従わないということですから、シフトから外されます。
書中、主人公の友人から放たれる言葉とその後の反応も、「こちら側」と「あちら側」の仕分け作業。
彼女らもより大きなくくりではあるものの、コンビニ人間であることに変わりはありません。
白羽とはなんだったのか
「婚活目的の新入り男性・白羽」とはなんだったのか。
主人公と同じようにマイノリティでありつつも、主人公とは違う。
主人公のように自身に意見がなく、指示を与えてくれる存在であるコンビニに居心地の良さを感じるわけでもない。
マイノリティゆえに村八分にあい、プライバシーをはぎ取られた結果、普通に対する憎悪を抱いている。
にもかかわらず、彼らを見返す方法として口にする言葉はマジョリティ側のそれ。
あらゆる面で他責である彼の言葉は、常に私の心をざわつかせました。
でも、ここまで極端ではないですが、こういう人、いますよね。
まとめ的なもの
久しぶりの現代小説、芥川賞。
心を揺さぶられながらも、楽しく読まさせていただきました。
主人公の妙に合理主義でさばさばしたものの考え方は、意外と共感できました。
共感力皆無な主人公で、あまり共感したくはない主人公ではありますが…。
他人の目より自分の目、自分にあった生き方って大事です。
それが一見普通でないからといって、周りが勝手にそれを不幸せ扱いするものでもない。
そんなことを考えさせられました。
でも、ストーリーは至ってポップでコミカル。
オススメの一冊です。
『フジテレビ元経済部長が毎日実践している-日経電子版の読みかた』既存メディアVSキュレーションアプリ
ネットの時代の新聞活用法
本日は軽めな本の紹介です。
『日経電子版の読みかた』を読みました。
フジテレビの元経済部長である著者が、毎日実践している読みかただそうです。
ニュースを配信する側の方が、どのように日経を読み解いているのか、気になりますね。
日経電子版、春割キャンペーン実施中
私は普段NewsPicksとウィジェットのYahoo!でニュースをチェックしています。
どちらもキュレーションアプリなので、日経の記事も含まれています。
ではなぜ今、日経を?
それは、ただいま日経電子版の無料キャンペーン中だからです。
キャンペーンではいくつかのプランが対象になっています。
従来型の宅配、宅配+電子版、電子版のみ、この3プラン。
春割ということで、どのプランもお安くなっているのですが、電子版のみのプランはなんと5月末まで無料!
というわけで、お試し中なのです。
新聞の読み方がわからない
キャンペーンに申し込んで、無料でサービスを利用しているのですが、そもそも日経新聞の特徴がわかりません。
ちゃんと新聞を読んだのって、いつだろう…。
たまにチャレンジするんですが、結局ネットニュースのほうが使いやすくて…。
ニュースはNewsPicksとYahoo!ウィジェットでカバーしています。
日経平均や為替も、やはりスマホのウィジェットで表示しています。
結局、紙の新聞がスマホアプリに勝っている点がわからない。
電子版にしても、単体のメディアにこだわる利点がわからない。
そんなわけで、結局紙の新聞、特定のメディアのニュースアプリは利用しなくなってしまいます。
日経新聞の特色とオススメ記事を知る
それでも、もちろん既存の新聞メディアが既にオワコン、とは思いません。
だって、キュレーションアプリは既存メディアの集合体のようなものですから。
日経や朝日、その他多くの個々のメディアがなくなれば、NewsPicksだって単独では世の中をカバーできません。
一般的なニュースを既存メディアがカバーしてくれているおかげで、NewsPicksは独自の特集に全力を注げるとも言えます。
そんな縁の下の力持ち的な既存メディア「日経新聞」を楽しむために、本書ではいくつかのオススメの記事を紹介してくれています。
「経済教室」、「やさしい経済学」、「きょうのことば」、「春秋」、そして「私の履歴書」。
経済の話題はビジネスマンとしては必須ですが、身近なテーマな割りに内容はとても難しい。
「経済教室」や「やさしい経済学」でポイントを絞ってくれたり、流れをまとめて解説してくれるのはありがたいものです。
また「きょうのことば」ではその日その日の気になるキーワードを説明してくれます。
テクノロジーが発達して、聞きなれない用語が平気で飛び交うようになったので、これまたありがたい。
そして定番の「春秋」と「私の履歴書」、これはもはや何も言うことはありませんね。
電子版ではこれらをフォローすることで、お気に入りに絞ってまとめ読みすることもできます。
紙の新聞の良いところ
本書はあくまで『日経電子版の読みかた』ですので、紙の新聞のよさを再発見するというものではありません。
NewsPicksユーザーにとっては、コメントの有無意外には大きく変わるところはない、というのが本音。
今回の本の趣旨ではありませんが、紙の新聞の良さを挙げるとするなら、一覧性と、偶然の出会いでしょうか。
ばっと新聞を広げて眺めると、様々な見出しが目に入ってきます。
スマホでは、見出しで気に入らなければクリックもせず、内容は一切目にすることがありません。
新聞では本文も目に入るので、見出しでピンと来なくても、目がキーワードを拾うということもあるでしょう。
また、電子版では恣意的な並べ替えがなされていることが多いですが、新聞ではそんなことはありません。
右上から左上に目を動かせば、意外な発見に出くわします。
電子版よりもセレンディピティが起こる可能性が高まるはずです。
まとめ的なもの
今回本書を読むことになったのは、実はキャンペーンだけが理由ではありません。
会社で紙の新聞をやめ、電子版にすることを検討することになったのが事の発端。
それで調べ始めたら、すぐにキャンペーンサイトにたどり着いたわけです。
そこでこの本のことを思い出し、会社の施策にもなにか役立つかなと思い読んでみました。
結論としては上記の通り、やはり総合点でキュレーションアプリに軍配があがるかなと私は思っています。
それでも、特定のコラムや特集といった局地戦では、既存メディアの強みも垣間見ることができました。
NewsPicksアカデミアに登録しようか迷っている中、さらに日経電子版を有料登録することは今のところ考えられませんが、会社の施策に乗っかってしまえば…。
これなら会社も自分も日経新聞もハッピー。
三方よしとはこのことか?
そんなわけで、会社での施策実現を推進してまいります。
日経電子版の読みかた――フジテレビ元経済部長が毎日実践している
- 作者: 鈴木款
- 出版社/メーカー: プレジデント社
- 発売日: 2018/09/13
- メディア: Kindle版
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今月の読書、まとめ的なもの。~2019年3月~
2019年3月の読書、まとめ的なもの。
身になった本難しかった本、色々とありますが、一ヶ月分をヒトコメで振り返ります。
- 脳疲労が消える 最高の休息法[CDブック]
- EQ2.0-「心の知能指数」を高める66のテクニック
- ビジネスで使いこなす「定量・定性分析」大全
- チーズはどこへ消えた?
- ファクトフルネス
- 最高の戦略教科書 孫子
- マーケット進化論-経済が解き明かす日本の歴史
- スタンフォードで一番人気の経済学入門
- さあ、才能(自分)に目覚めよう-ストレングス・ファインダー-
- 迷路の外には何がある?
- 働くということ
- Amazon 世界最先端の戦略がわかる
- ブランド人になれ!会社の奴隷解放宣言
- シリコンバレー式 最強の育て方-人材マネジメントの新しい常識 1on1ミーティング-
- ホモ・デウス(上)
- 入門 起業の科学
- NewsPicksMagazine Vol.4
- 人生がときめく片づけの魔法
- がんばれ!遺言執行者
- THE MODEL
- その他
- まとめ的なもの
脳疲労が消える 最高の休息法[CDブック]
マインドフルネス、過去にチャレンジしましたが、今回再チャレンジ。
瞑想と言うとなんだか宗教チックな印象を受けますが、マインドフルネス瞑想は宗教色を排除して、科学に基いたメソッドとして組み立てられています。
呼吸法により副交感神経への切り替えや、集中力、感情のコントロールができるようになります。
速攻性のあるものではないので、毎日の習慣として組み込んでいくことが大事ですね。
マインドフルネスはEQの向上にも効くと言われているので、ビジネスマン必須の習慣といえます。
脳疲労が消える 最高の休息法[CDブック]――[脳科学×瞑想]聞くだけマインドフルネス入門
- 作者: 久賀谷亮
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2017/05/18
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EQ2.0-「心の知能指数」を高める66のテクニック
こちらも上述の『最高の休息法』と併せて実践中。
毎日朝にリマインダーをセットしてあり、取り組むべき課題が書かれています。
これまでやったことがないことですので、毎日表示してしつこいくらいで丁度よいのです。
呼吸法、感情日記、自分との向き合い方等々、月ごとに課題を設定しています。
本書はメンタリストのDaiGoさんも帯に推薦コメントを寄せていますし、動画でも紹介していました。
EQは大事と言われても、何をすれば向上させられるものなのかがわからなければ、上げようがありません。
本書はその「どうすれば」の部分を集中的に解説してくれています。
ビジネスで使いこなす「定量・定性分析」大全
中小企業診断士のテキストっぽい内容ですね。
定量分析としては売上高利益率や回転率、ROEやROA、NPVについても書かれています。
定性分析はフレームワークとして、SWOT、5フォース、3C、PEST、VRIO等、ほとんど中小企業診断士試験と被ります。
元々「定量分析」と「定性分析」の2冊だったもの1冊にまとめたものなので、450ページもあります。
読み切るというよりは、さらっと一周したらあとは辞書的に使うイメージでしょうか。
チーズはどこへ消えた?
長らく読まれてきたビジネス書の名著。
とても短いお話ですが、そこには人生の原理原則がシンプルに、わかりやすく描かれています。
難しい本を読んで複雑に考えすぎて思考停止 するよりは、本書のような読みやすい寓話でハッと気づいて、できるだけ行動に時間を割く方が実りがありますね。
- 作者: スペンサージョンソン,Spencer Johnson,門田美鈴
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2000/11/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ファクトフルネス
人間は良いことはすぐに忘れてしまうのに、悪いことはいつまでも引きずる生き物です。
それは道具や火を手に入れる前の、食物連鎖の一部だったころの本能なのかもしれませんが。
本書はそのことを痛感させてくれます。
普段テレビや新聞では痛ましい、悲しい、悪いニュースばかりが目につきます。
でも、そんな中でも着実に我々の生活や環境は良い方向に進んでいる。
今悪いことが起きていることと、長期的に物事が良い方向に進んでいることは矛盾せず、両立する。
そのことをしっかり理解できている人は、意外に少ないのだと思います。
FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
- 作者: ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロスリング・ロンランド,上杉周作,関美和
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2019/01/11
- メディア: 単行本
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最高の戦略教科書 孫子
高校の頃、軍事オタクの友人に「孫子の時代と違って戦闘機やミサイルで戦争をする時代。孫子なんて役に立たないよ」と言われたことがあります。
そうでしょうか、私はまったくそうは思いません。
確かに戦い方、「戦闘」の部分は大きく変わっています。
でも、「戦略」や「戦術」といったより抽象度の高い部分は、今も昔も変わらないもの。
例えば「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」という原理原則、戦争だけでなくビジネスの場でも当たり前のことですね。
身近な課題を解決してくれる最近のビジネス書、ノウハウ本も良いですが、ベースとなる原理原則を固めていくことが、長期的に自分を支える力になることでしょう。
マーケット進化論-経済が解き明かす日本の歴史
歴史の本は数あれど、経済にのみフォーカスした歴史書はなかなかありません。
とても興味深いテーマですが、内容は少々難しい…。
荘園や楽市楽座等日本史で学んだことを思い出しつつ、想像が付かないが故に混沌としていた日本史のイメージがアップデートされました。
文化が栄えるということは、そこにはしっかりとした経済基盤があって、経済基盤があるということは細かなルールが作られている。
近代以前も高度な経済を回していたということに驚きました。
スタンフォードで一番人気の経済学入門
Kindleで読んだ本を見返していたら見つけました。
もう6年前の本で、読んだのも5年前くらいだと思います。
改めてマクロ、ミクロ、両方読んでみました。
流石に「スタンフォード大学で一番人気」と言われるだけあってわかりやすい。
元々難しい用語は少ないのでしょうけど、池上さんが監訳というのもわかりやすさに一役買っていると思います
学問としての経済学は6年やそこらで古くなるものではないので、今読んでも学ぶところは多くあります。
経済学入門としてお薦めです。
- 作者: ティモシー・テイラー,池上彰,高橋璃子
- 出版社/メーカー: かんき出版
- 発売日: 2013/02/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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さあ、才能(自分)に目覚めよう-ストレングス・ファインダー-
上述の『EQ2.0』と一緒に買った本。
自分の今の強みや弱みなどを数値として知り、高めたり補ったりするために買いました。
「才能(自分)」に目覚めるためのテストなんですが、本書に書いてある才能は自分以外にも当てはまるもの。
お勧めの読み方は、「あ、この才能はAさん、こっちはBさん」というように、職場のひとにあてはめること。
自分の才能強化にのみ用いると、34の才能について記載されている内の5つしか読まないということになるので、勿体ない。
是非全て読んで、チームの強化に用いましょう。
さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0
- 作者: トム・ラス,古屋博子
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2017/04/13
- メディア: 単行本
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迷路の外には何がある?
『チーズはどこへ消えた?』の続編です。
18年を経て、ついにヘムのその後が語られます。
前作と対比して読んでみると面白いですね。
現状の変え方はA⇒A’だけでなく、A⇒Bもある。
『迷路の外には何がある?』 ――『チーズはどこへ消えた?』その後の物語
- 作者: スペンサー・ジョンソン,門田美鈴
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2019/02/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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働くということ
ブラックだとか社畜だとかいう言葉をそこら中で耳にするようになりました。
会社のあり方について、問題視すべきところは問題視し、解決していかなければなりません。
でも、私たちが働くということは、それとは別に、考えていかなければなりません。
ホワイトでも毎日8時間、通勤退勤や昼休憩を入れれば10時間も拘束される「働く」ということについて。
我々は日々の生活の糧にのみ働いているわけではないでしょう。
建前ではなく、自分の仕事に誇りを持てるようにならなければなりません。
学校を卒業して就職された方、今の職場で悩んでいるサラリーマンに読んでもらいたい名著です。
Amazon 世界最先端の戦略がわかる
『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』を読んで、Amazonについての内容の薄さを残念に思っていました。
Amazon関連の本を読まなきゃと思って書店でペラペラと立ち読みして、成毛本に決めました。
エビデンス多めなのでとても納得感のある本です。
帯に「この1社さえ知ればいい」とありますが、誇張でもないようです。
経営戦略、知財戦略、財務戦略、あらゆる世界最先端の戦略が詰め込まれています。
もちろんAmazonについても、何をやってきて、どこへ向かっていて、何が強みなのか、まるっとわかります。
Amazonを小売業だと考えている人(もういないと思いますが)は、本書を読んで考えを改めたほうが良いでしょう。
あらゆる産業でAmazonは脅威になりえます。
なんせEverything Storeですから。
ブランド人になれ!会社の奴隷解放宣言
このふざけたポーズの坊主の方が、元LINEの執行役員で、現在ZOZOのコミュニケーションデザイン室室長の田端さんです。
ネット上でこの方ほど頻繁に炎上している方は見たことがありません。
炎上に油を注ぐことにかけては他の追随を許しません。
極端なことを言っているようですが、カッとせずによく読めば、的を得たことを言っていることは分かります。
自分のポリシーに最強に忠実になると、このような方が出来上がるのでしょう。
ブランド人になれ! 会社の奴隷解放宣言 (NewsPicks Book)
- 作者: 田端信太郎
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2018/07/06
- メディア: 単行本
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シリコンバレー式 最強の育て方-人材マネジメントの新しい常識 1on1ミーティング-
係長になり、人事考課をする立場になりました。
これまでは自分の仕事をこなしていればよかったのが、これからは周囲を盛り立てる立場です。
人というリソースを最大限に活かすことが仕事の一部になり、これをうまくやり遂げることでその先、課長が見えてきます。
今もたまに「課長!」と揶揄(揶揄?)されるのですが、本物の肩書として課長になるためには、 人材育成、人材マネジメントの術を身に付けなければなりません。
そんなわけで最近、ちょっと視点が変わりつつあります。
シリコンバレー式 最強の育て方 ― 人材マネジメントの新しい常識 1 on1ミーティング―
- 作者: 世古詞一
- 出版社/メーカー: かんき出版
- 発売日: 2017/09/13
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ホモ・デウス(上)
前著『サピエンス全史』は人類史、人類学でしたが、本書は未来のお話。
「ホモ」は「ヒト」のことで、「サピエンス」は「賢い」という意味ですので、「ホモ・サピエンス」は「賢い人」 を意味します。
本書タイトルの「デウス」はなんと「神」を意味し、「神なるヒト」、つまり超人です。
前著は歴史として楽しめましたが、続編となる今作はSF的な面白さがあります。
とはいえ、フィクションではなくノンフィクションですけどね。
入門 起業の科学
『起業の科学 スタートアップサイエンス』に入門編が出ました。
大型の本でとっつきにくさを感じていたのですが、サイズ感も内容もコンパクトに収まったので、手に取りました。
起業には行動力が必要ですが、気持ちだけでは成功できません。
多くの成功と失敗を分析することで、負けない方法を学ぶことができます。
成功はアートですが、失敗を避けるにはサイエンスが必要。
敗因を因数分解し、共通項を探し出して対策をうつ。
そういった科学を体系的にまとめた本です。
NewsPicksMagazine Vol.4
毎回楽しみにしているNewsPicksMagazine、今回は英語特集です。
私も英語を話せるようになりたいなぁと思いながら、何度も挫折や中断をしています。
少し時間も出来たので改めて英語をやりたいなと思っていた矢先のこの特集。
今回はある程度形になるように英語に取り組みたいです。
人生がときめく片づけの魔法
NewsPicksMagazineの中で紹介されていて気になったので読みました。
お片づけメソッドで世界に出た方って、日本どころか世界初では?
しかもTIME誌の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれてしまうなんて。
私も本書を読んで、早速「こんまりメソッド」を実践。
無事、長らく見ることのなかった床と対面することができました。
がんばれ!遺言執行者
元信託銀行員の方が書いた小説。
小説とは言っても流石は元信託銀行員です。
実務の流れをしっかりと盛り込み、遺言執行実務の中で気になる用語やポイントをしっかりと解説し、解決してくれます。
法律や制度について書かれた本は多くあれど、実務一巡についてこれだけわかりやすく書かれた本は初ではないでしょうか。
THE MODEL
デジタル時代のマーケティング教本。
マーケティングオートメーションのマルケト日本法人の代表である福田康隆社長の著書です。
元オラクルで、セールスフォースの創業者であるマーク・ベニオフから学んだマーケティングプロセス。
名前はつけられていなかったそうですが、これを「ザ・モデル」として日本に持ち帰ってきたのが福田社長。
マーケティング特有のアルファベット三文字の用語が沢山出てきますが、図解も多く、マーケティング担当者でなくても読みやすいと思います。
マーケティング担当者はもちろん、必読です。
THE MODEL(MarkeZine BOOKS) マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス
- 作者: 福田康隆
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2019/01/30
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その他
『POPEYE(ポパイ) 2019年 3月号 [こんな仕事があったのか。]』
『問題解決ファシリテーター―「ファシリテーション能力」養成講座』
まとめ的なもの
3月は32冊読みました。
読みたい本が盛沢山だったというのもあるのですが、ちょっと頑張り過ぎましたね。
消化不良、膨満感。
読書は冊数をこなすためにするわけではないので、理解やアウトプット、実践が追い付いていなければ意味がありません。
今の私には20冊前後がちょうどよさそうです。
4月は少しペースを抑えつつ、読み直しもしていきたいと思います。
『人生がときめく片づけの魔法』こんまりメソッド、読んで即実践!捨てまくってお部屋もスッキリ!
部屋の掃除を始める、その前に
いつもはビジネス書ばかりですので、今回はかなり変り種。
お片づけの定番本、『人生がときめく片づけの魔法』を読みました。
主に主婦層をターゲットにした本かなと思いましたが、部屋の片づけも長らく手付かずとなっているので、 さくっと読んで、早速実践してみました。
アメリカでも大人気の片づけメソッド
そもそも本書の著者、こんまりこと近藤麻理恵さんを知ったのは、『NewsPicks Magazine vol.4 spring 2019』がきっかけ。
先日エントリーしましたが、vol.4では英語がテーマでした。
英語と片づけメソッド、全く結び付きませんが、実はこのこんまりさん、現在はアメリカ在住です。
そして、Netflixで大人気のお片づけ番組を持っています。
また、「こんどう」、「こんまり」という名前は、そのまま「片付ける」という意味の動詞として使われているのだとか…。
Let's Kondo!!とか、I konmaried my room yesterday.とか言うんでしょうか…。
さらに、アメリカのTIME誌で、「世界で最も影響力のある100人」に選ばれています。
調べてみると、この100人は、パイオニア、アーティスト、指導者、アイコン、タイタンという5つのカテゴリで選出されるようです。
こんまりさんが選出されたのは2015年ですが、なんとアーティストとして選出されています。
片づけはアートなんですね…。
ちなみにもう一人の日本人は、村上春樹さんです。
世界の村上と肩を並べるこんまりさん、すごいですね。
ときめき基準がこんまりメソッド
こんまりメソッドは、まず捨てること、それから収納場所を決めること。
捨てるのにもルールがあって、場所別ではなく、カテゴリ別に捨てること。
部屋のこのタンスの中を片付ける、ではなく、服であればハンガーにかかっているもの、タンスに入っているもの、クローゼットの中のもの、全て引っ張り出して、一気に捨てるか残すかの判断を行うそうです。
引っ張り出したものはひととこに集めるので、服の山が出来上がります。
カテゴリごとに行うことで、効率的に捨てていくことができます。
そしてこの捨てる時の判断基準が、とても可愛らしいのです。
捨てる対象となるものを胸に当ててみて…「キュン♡」となるかどうかが、捨てるか残すかの基準だそうです。
とても正直でわかりやすい基準ですが、「キュン♡」とするものが多い方は、なかなか大変なお片づけになりそうですね(笑)
実際にやってみた
お片づけメソッドですので図入りで文字も少ないだろうと思っていましたが、とんでもなかったです。
図は一切なし、文字も大きくないので、NewsPicksBookなどの読みやすさ重視の最近のビジネス書よりも文字数は多いです。
これで税抜1,100円って、ものすごくお買い得感がありますね。
がっつりと読んでから、即実践に移りました。
本来のこんまりメソッドとは違いますが、今回は服と雑貨だけ。
これが部屋のスペースを圧迫しているので、目下どうにかしたいモノたちなのです…。
ほとんどときめかない事態に…
さて、ハンガーから、タンスから、クローゼットから、どんどんと衣類を引っ張り出しました。
先ほど書いた通り、大きな山が部屋の真ん中に出来上がりました。
次は一つ一つときめきを確かめていく、はずなのですが…。
もう胸に当てるまでもなくキュンとしないものばかり。
飽きっぽい性分が出ますね、これ。
以前はあれだけ着ていたのに、今となっては冷静な仕分け対象に。
ほとんどときめきもなく、事務処理的に30リットル袋に詰め込まれていきます。
集めて、捨てて、2時間ほどかかりました。
そうして詰め込んだ30リットル袋、なんと7袋!!
服って嵩張りますから、がっつり捨てればこんなことになるんですね…。
服好きな方ならあっさり二桁いくんだろうなぁ…。
久しぶりに見る床
こんまりメソッドを実践し、30リットル袋を7袋、片付けました。
部屋へ戻ってみると、まず何より部屋が広く感じます。
先ほどまで服が山のようになっていたわけですから当たり前ですが、それを抜きにしても、つい2時間前より見える床の面積が広がっています。
普段着ってついつい床に置いてしまうんですよね。
この「床が見える」という喜びは、体験した人でないとなかなかわからないかもしれません。
毎日ちゃんとお片づけしている方には、当たり前すぎてわからないかもしれませんね。
怠惰故、ですが、これはとても嬉しいことでした。
できる限りこの状態を維持したいな、とも思いました。
本来のこんまりメソッドでは、より多くのものを捨てて捨てて捨てまくる必要があります。
そののちに、残った思い入れのあるモノたちの居場所を決めてあげることでメソッド完了。
今回私はその一部しかできませんでしたが、また時間を見つけて他のものも捨てて、さらにその先も実践してみたいと思います。
この床が見える喜びを、当たり前のことにしなければなりませんね。
まとめ的なもの
こんまりメソッドのおかげで、心なしか気持ちも軽やかになった気がします。
このよい流れ、勢いにのって、会社でもモノを捨てまくりました。
会社にある使いかけの文房具や古い書類なんて、それこそまったくときめかないので、ものすごい勢いで捨てまくることができました。
また、今回本を読む前に動画も見ていたのですが、こんまりさんはとても可愛らしい方で、 文章からもそれが見て取れます。
でも、このメソッド自体はそんなゆるふわなものではありません。
5歳から『ESSE』を読み漁っていて、お片づけが趣味だったこんまりさんの集大成ですから、かなり詳細で体系立っています。
家庭のお片づけの手順書として、一家に一冊おいておくと、色々と捗るのではないでしょうか。
シリーズ1,000万部も納得の内容です。
はてなブログはじめて一年が経過しました。
こんばんは。
今日、はてなブログ運営からメールがとどきました。
何かなと思って開いてみると、なんと、弊ブログ一周年記念だそうです。
まだ一年?もう一年?
長いような短いような。
中小企業診断士の試験で中断もしていましたから、丸っと一年ではありませんしね。
さて、振り返ってみると、我ながらよくエントリーしてるなと。
特に試験明けからは、本当によく本を読んでいます。
これだけ読むと、なかなか得た知識のアウトプットが追い付きません。
少し本を買うペースを抑えて、読み終えたものを再読しつつ、仕事などでのアウトプットをしていきたいです。
行政書士としては、相変わらずインプットばかり。
深い知識は大事ですが、一定量を身に付けたなら、そこからは実務の中でさらに深めるというのが本来。
これは行政書士だろうがサラリーマンだろうが変わらないこと。
何かよい方法がないか、引き続き考えていきたいと思います。
サラリーマンとしては順調ですが、係長になったことで、これまでとは仕事の進め方などが変わってきました。
もとよりマネジメントどんとこいと思ってやってきましたから、うまく立ち回れているかなと。
アイデアも相変わらずたくさん湧いてきますし、それを周囲に任せていけばよい。
気持ちよく私のアイデアを形にしてもらいつつ、ルーティンではない企画系業務をみなに経験してもらう、Win-Winの関係ですね。
ブログ的には、サラリーマン関連のエントリーも増やしていきたいです。
そんな感じで、これからもブログを書いていきたいと思います。
今後とも、何卒よろしくお願いいたします。
『シリコンバレー式 最強の育て方』Googleでもやっている、1on1ミーティングによる人材マネジメント術。
人を評価する立場になって
私は昨年サラリーマンとしてひとつ階段を上り、係長になりました。
自分の中で狙いを定めて取り組んできた結果です。
もちろん、まだまだ道半ばではありますが。
そしてこれからは、評価面談をしなければならない立場です。
係長は管理職ではないので、「上司」と「部下」という立場ではありません。
私の職場は少し特殊な仕事の割り振りになっているので、私から指示を出すこともあれば、もう一つ上から直接指示が発せられることもあります。
そうはいっても評価面談を行うのは私なので、評価者、考課者になったからには部下のマネジメント術を身に付けなければなりません。
そんなわけで、今回は『シリコンバレー式 最強の育て方 ― 人材マネジメントの新しい常識 1on1ミーティング―』を読みました。
なぜ今1on1ミーティング
人事考課、評価のための面談は、半期に三回あります。
目標決めの面談が一回、考課面談が一回、部長級による全体でのすり合わせ後の確定評価のフィードバックが一回。
三回あるとはいっても、それぞれ意味合いの異なる面談です。
目標決めの段階では進捗の相談はできませんし、考課面談は半期を終えた後の報告になってしまいます。
その後のフィードバックでは、確定の評価を渡されるだけです。
会社として公式に決められた面談機会はこれだけですが、当然、これだけで足りるわけはありません。
上司からは「面談するぞ」という言葉はありませんが、私は必要に応じて上司を捕まえてプチ面談、プチミーティングを行っています。
このように、私は「上司は使うもの」と考えているので、遠慮なく面談を入れていくのですが、みながみなそんなではありません。
面談、ミーティングの機会がなければ、上司は仕事の進捗がわかりませんし、部下も進め方がわからなくなり、仕事が滞ってしまいます。
私の現在の上司は、部下の意見をちゃんと汲み取ってくれる方なので、部下として苦労したということはありません。
ですが、自分が上に立つことになったら、下につく人に対してはもっと仕事をやりやすい環境を整えてあげたいと思っていました。
だからこその、「1on1ミーティング」なのです。
こまめな1on1ミーティングでハードルを下げる
この1on1ミーティングは、 GoogleやYahoo!では長らく当たり前のこととして取り入れられているようです。
本書では、月30分の1on1ミーティングで、部下は自分から動くようになり、やる気を出し、いきなり退職することもなくなると言っています。
これらを含む8つのメリットを挙げていますが、まとまった時間の1on1ミーティングをこまめに設定してあげるだけで8つもメリットがあるのなら、やらない手はないでしょう。
まず、一つ目のメリットとして挙げられている上司と部下の信頼関係、これはこまめなコミュニケーションがあってこそのものです。
本書では1on1ミーティングが行われない理由も書かれていますが、「忙しい」、「面倒くさい」等が挙げられています。
このような考えの上司では、信頼関係を築くことも難しいですから、考えを改めたほうがよいですね。
「苦手意識」というのも挙げられていますが、苦手だからやらないでは、マネージャーは務まりません。
「いやちゃんとマネージャーとして務まってるし」と思っていても、部下の視点では頼りなく映っているものです。
部下はなにも軽快なトークを期待しているわけではありません。
日常の仕事の中で蓄積していく悩み事を相談できる上司であってほしいのです。
というのが、私が長年部下として感じてきたことです。
1on1ミーティングはクオリティタイム
本書の「はじめに」の中で、1on1ミーティングを「クオリティタイム」と呼んでいる企業もあると書かれています。
クオリティタイムとは、「部下にとって高質で貴重な時間」とのこと。
残念ながら社名は書かれていませんでしたが、これはとても大切なことだと思います。
1on1ミーティングは、単に進捗などの情報を聞き出すための面談ではありません。
ただの進捗報告であれば、日報やタスク管理ツールがあります。
部下にとって貴重な時間なのだと考えれば、上司が欲しい情報を報告させる場ではないということはすぐにわかりますね。
今の仕事がうまくいっていないとしたら、根源的な理由はなんなのか、一緒になって見つけてあげること。
信頼関係ができているのなら、プライベートな悩みを聞いてあげることで、すっきりして仕事に取り組んでくれるようになるかもしれません。
上司と部下の間での相互理解、信頼関係を作ること、これが1on1ミーティングに必要なことであり、また同時に1on1ミーティングのメリットなのでしょうね。
まとめ的なもの
本書は1on1ミーティングの必要性を説くだけでなく、実施の仕方をかなり具体的に書いています。
1on1実践マップなどというものも図示されているので、フレームワーク的に使うことができそうです。
ただ、1on1ミーティングというのもあくまでメソッド、ツールですので、使い方を間違えれば逆効果も。
毎月のこの1on1ミーティングが、部下にとって嫌な時間になってしまっては意味がありません。
ITや制度と同じで、用いる目的をしっかり見極めて、使い方を定めて、そして関わる人のことを思いやらなければ、形ばかりのものになってしまいます。
そうならないためにも、一回の長さや頻度、内容も、よくよく考えて用いていければと思います。
シリコンバレー式 最強の育て方 ― 人材マネジメントの新しい常識 1 on1ミーティング―
- 作者: 世古詞一
- 出版社/メーカー: かんき出版
- 発売日: 2017/09/13
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時の有限さと熱し過ぎると冷めやすいを実感した一週間。
お久しぶりです。
前回のエントリーから一週間以上空いてしまいました。
診断士試験終了後はコンスタントにエントリーを続けていましたが、先月はエントリー数も少なくなってしまいました。
理由としては、読書に時間を割きすぎたこと。
「時間を割きすぎた」というと読書が悪いことのようですが、過ぎたるは猶及ばざるが如し、ですね。
3月の読書数、なんと32冊!!
世の中には速読を身に付けておられる方もいらっしゃいますから、そういった方からしたらまだまだ少ないのかもしれません。
ですが、私の現在の読書スピードではかなりいっぱいいっぱいでした。
もちろん、私の人生で一番本を読んだ一ヶ月となりました。
こうやって一つのことに時間をマン振りしてみると、時間の有限さに改めて気付かされますね。
本を買うペースも読むペース以上だったりするので、時間があればあるほど積読がたまっていってキリがありません…。
もちろん、読みたいと思うから買ってくるので、その点は仕方ないんですけれど。
ただ、途中からは暴走機関車のごとく、読んで、次へ、読んで、次へと、やや追い詰められるような感覚もありました。
ビジネス書なので、小説のようにじっくり噛み締めて読むものではありませんが、それでも早く読み終えられればよいというものでもありません。
これまでは、読書後にブログを書くことで知識の整理していましたが、整理できていないOneNoteへのメモがたまってしまっています。
これについては、消化不良だなと感じています。
そうして駆け抜けた一ヶ月。
4月に入って一息ついたつもりが…。
この一週間、ブログも新しいエントリーを投稿できず、読書も少し食傷気味。
3月分が消化不良なためか、ページをめくってもいつもほど集中できません。
私は元々熱しやすく冷めやすい性格ではあるのですが、あまりに熱し過ぎたので、いつも以上に反動の振れ幅も大きいようです。
一旦、新たな読書は少しおいておいて、ブログでアウトプットして整理したほうが良いかもしれませんね。
それから、先日のエントリーでも宣言した通り、英語も再開しました。
スタディサプリEnglish、最近の勉強アプリはものすごく優れていますね。
キャンペーン中でしたので、一年分ライセンス購入することにしました。
お金が無駄にならないよう、鋭意勉強中です。
4月からは、限られた時間をうまく配分して、読書、ブログ、英語、全てバランスよくこなしていきたいと思います。
今回は「書かない流れを断ち切る」エントリーでした。
以上。
『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう』自分だけでなく他人の才能も知ろう。
才能と書いて「じぶん」と読む
『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0』を読みました。
才能と書いて「じぶん」と読ませるのはよいですね。
自分というのは才能そのものですから。
なにもイチローのような天才と言っているわけではありません。
才能とは個性であり、自分を最大限に活かすためには自分のことをよく知っておかなければならないでしょ?
自分自身の振り返りと強みの強化
最近、改めて自分自身を振り返ろう、振り返らなければならないなと感じています。
昨年係長に昇進したばかりですが、来年の今頃には課長への昇進を検討していただかなければならないからです。
私自身がやりたいことをやりやすくするためというのもありますが、職場のメンバーの顔を思い浮かべたとき、課内の仕事をうまく回すため、他部署との関わりをよりよいものにするため、上がさらに上に行くため、下が上に上がってくるため、私が課長に上がる必然性を感じています。
こういったら生意気だ不遜だ自意識過剰だと言われるかもしれませんが、こういうのってそういう立場になると自然と感じるものなんです。
主任になり、係長になり、その都度自身が求める責任は重くなって行きます。
先輩上司同僚や仕事の実績そのものからの手応え、フィードバックを感じ、「そろそろ上がるな」という確信めいたものがあるはずです。
もちろん出世と言うのは社内の多くの人の思惑や嫉妬欲望が絡み合ってくるので、その予感や手応えが的中しないこともあるでしょうけれど。
そうならないためにも、自分自身を振り返り、自己分析、現状把握をしたうえで、人事を尽くして天命を待つ境地に至りたいと思っています。
スキル、ノウハウ以前に必要なもの
サラリーマンでも行政書士でもその他どのような職業であっても、知識やスキル、ノウハウ以前に必要になってくるものってありますよね。
「健全な精神は健全な肉体に宿る」なんて言いますし、健康、身体の充実感は生きるうえでの基本です。
健康健全な身体だから、ストレスから解放され、健全な精神を身に付けることができるといえるでしょう。
健全な肉体と精神の上に、知識やスキルが乗っかって、それぞれの専門性を発揮することができると考えます。
マインドフルネスやアンガーマネジメントでEQの向上を図っておりますが、これは精神面での成長、改善を期待して取り組んでいます。
精神と知識、スキルの間には、先天的とまでは言えないまでも、簡単には変わらない個性のようなものがあります。
これが強みだったり弱みだったりするのですが、本書ではこれを「才能」としています。
そして弱みを克服するよりも、才能を伸ばすことに注力しようというのが本書の趣旨です。
5つの才能に目覚めよう
5つに絞られているのは、優先順位付けでしょうか。
3つでは少なく、他にも伸ばすべき才能があり、10では多すぎて効率が悪くなる、といったところでしょう。
質問数はかなり多く、答えるのに時間がかかりますので、時間に余裕のあるときに取り組むのが良いでしょう。
また、1問あたりの解答時間制限が設けられているので、あまり考えている時間もありません。
元々考えずに直感で答えるようにとの時間制限ですが、眠気誘う時間帯だと、長い質問を読んでるうちに締め切られてしまいます。
というのを一問体験しております(笑)
もったいないので気をつけて、気を引き締めてテストに臨みましょう。
盛りだくさんな質問を回答し終えると、5つの自分の才能を見ることができます。
個人的な感想としては、「やっぱりこれか」というものでした。
それほど意外性はなく、5つのうち4つは前から自分の傾向として考えていたものでした。
それではあまり役に立たないのかというと、もちろんそんなことはありません。
それぞれの才能について、より深く解説してくれていますし、この才能をどのように生かせばいいのかということも書かれています。
これを実践していくことで、さらに自分の才能を強化していくことにつながります。
彼を知り、己を知れば、百戦して危うからず
本書は「才能(じぶん)」に目覚める本ではありますが、自分に該当する5つだけでなく、34の才能全てが書かれています。
そしてすべてに「~が高い人との働き方」として、その才能を持ったひととの働き方、付き合い方が示されています。
これがなければ、もしかしたら本書は7分の1しか楽しめなかったかもしれません。
つまり、34の才能の内自分に該当する5つを除く29の才能は、自分には関係のないものとなってしまいます。
本書の趣旨からいえば、弱みを補強するよりも自分の才能を伸ばすことに時間を割くべきだからです。
でも、自分以外の人も34の才能のうちのいずれかに該当するわけですから、組織として働く以上、他人の才能が何なのか見極めて、付き合い方を工夫しなければなりません。
そう考えて初めて、本書はフル活用しなければならないなと感じました。
上司や同僚との接し方、部下の育て方、お客さんとの付き合い方、あらゆる他人とのコミュニケーションを円滑にするために、本書はとても有効な手がかりを与えてくれます。
まとめ的なもの
当たり前のようなことが書いてあるようで、じゃあそれを強みとして生かしてこれたかというと、そうではないからこそ本書は支持を受けているのでしょうね。
自分の強みに気付けていない人だってたくさんいるし、わかっていてもどう伸ばしていけばよいのかわからないという人もいる。
単に読むだけでも「自分にも才能があるのだ」と、自信を付けることにだって繋がります。
人それぞれ多くの受け止め方、使い方が想定されて、これは噛めば噛むほど味わえる本だなと感じました。
逆に、よく噛まなければ淡白なまま読み終えて、本棚の肥やしになる可能性も…。
『EQ 2.0』と同じく、ルーティンに組み込んで、実践していくのがよいでしょうか。
さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0
- 作者: トム・ラス,古屋博子
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2017/04/13
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『NewsPicksMagazine Vol.4』大人の英語学びなおし。
ニューエリートの英語
『NewsPicks Magazine』もこれでVol.4です。
ニューエリート50人インタビューから始まり、必読書500冊、子育て論、そして今回は英語がテーマです。
大人の英語の学びなおし。
実は私も以前、大学卒業以来約10年ぶりに英語の勉強を再開していました。
ですが、行政書士や中小企業診断士の勉強と重なってしまうということで、一旦中断しております。
あれから行政書士に無事合格し、中小企業診断士は残念ながらまだ合格に至っておりませんが、一旦区切りがつきました。
そこで、改めて英語のやり直し、しないとなぁと思っていたところにこの特集です。
何から取り組もうかと考えていたところでしたので、まさに渡しに舟。
早速読んで、行動に移したいと思います。
英語の勉強不要論
英語特集のはずなのに、特集の先陣を切る石川善樹先生は、「英語なんか勉強する必要なし」と切り捨てます。
英語はツール、これに時間を費やすのであれば、自分の専門を伸ばしたほうがよいとのこと。
おっとこれではせっかく英語を学ぼうと思った読者の気をそぎかねません。
もちろん、英語を学びましょうというのが趣旨の特集ですから、それだけでお終い、ということはありません。
石川先生曰く、英語というツールを身に付ける前に、そもそも日本語で自分のことを語れますか?ということ。
あくまで英語はコミュニケーション「ツール」なのだから、単語や文法だけ覚えても意味がありません。
身に付けた英語で何を語りたいのか、それがしっかりと自分の中になければ、英語の学習に挫折してしまうでしょう。
おそらく今回のNewsPicksMagazineを買う人の中にも、以前に英語に挫折している方がいると思います。
そのような方は、まずは石川先生の厳しいお言葉を受けて、英語学習で何を表現したいのか、考えてみるとよいと思います。
AI時代でも英語力は必要
石川先生と対照的なのが、パロアルトインサイトの石角CEOのインタビュー。
石角さんはGoogle本社でAIプロジェクトを推進されていた方だそうです。
最近ではポケトークなど翻訳アプリケーションもたくさん出てきていますし、そのうち英語を学ばなくても、アプリを使ってスムーズな会話ができるようになる。
そんなことがまことしやかに言われている世の中で、正にそれを実現するAIというテクノロジーを扱っていた石角さんからの「英語力は必要」というお言葉、重みがあります。
石角さんの場合は現地の方としっかりとコミュニケーションをとる必要があるため、心を通じ合わせるツールとしてマストだったという背景があります。
とても単純な意思疎通であれば、ポケトークだけで完結させるのもアリだと思います。
でも、プライベートでもビジネスでも、そんな単純な意思疎通だけで終わることなんてないですし、直接伝えたい大切な言葉もあるでしょうから、やはり英語の必要性がなくなるということはないでしょう。
同じ雑誌の同じ特集の中で、不要論と必要論の両方が出てくるのも、なんだか面白いですね。
ノウハウではなく、やはり本気度
NewsPicksMagazineの今回のテーマで期待していたのは、英語のオススメテキスト、オススメアプリ、オススメ勉強法。
英語学習のノウハウ的な部分を知って、短期間に効率的に身に付けたいなという怠惰な気持ちです。
でも、この期待はもろくも崩れ去りました。
テキストもアプリも勉強法も、それなりに紹介されています。
でも、単語帳はターゲットやDUOといったオーソドックスなもの、リスニングもネットフリックスやBCCを聴くというもの。
あまり新しい勉強法、テクニックやノウハウというものはありませんでした。
その代わり、「社会人になって必要に駆られ3ヶ月みっちりやった」というスパルタ式、スポ根英語勉強法なら、体験談として語られていましたね…。
効率の良い勉強法もあるにはあるのでしょうけれど、やはりどれだけコミットできるかという本気度のほうが大事なのかもしれませんね。
まとめ的なもの
NewsPicksMagazineは四半期に一度発行される雑誌なので、このvol.4で誕生から一年継続したということになります。
動画配信のLivePicksはWEEKLY OCHIAIへと進化しましたが、NewsPicksMagazineはどうなるのでしょうね。
先日、今後は幻冬舎以外からもNewsPicksBookを出すということで、幻冬舎の見城社長が怒りのツイートをしていました。
このまま継続していくのか、WEEKLY OCHIAIのようにリニューアルするのか。
アカデミアの方ではMOOCも始まりましたし、動画もTwitterの動画配信機能を使ってのTHE UPDATEという番組も始まりました。
これからもますますNewsPicksは面白くなっていきそうですし、今後に期待ですね。
『働くということ-実社会との出会い-』これから社会に出る全ての人に読んでもらいたい良書。
実社会に出る前に
とてもシンプルなタイトルで、そして心に突き刺さる深い内容でした。
併せて漫画版も読みました。
あと一週間もすれば、高校、大学を卒業した若者が社会へ出ることになります。
荒波に揉まれるでしょうし、思い描いていたものと違うかもしれません。
悲観しているなら、そんな悪いものではないよと伝えたいし、楽観しているなら、そんなに甘くないよと伝えたい。
どっち?と思われるかもしれませんが、どっちでもあるのです。
そして働くということは、そんなに簡単に答えが見つかるものでもありません。
1年目で思い知ること、3年目でわかり始めること、10年経っても新たに気付くことがあります。
私も働くということの意味を、未だに全て理解できているとは到底思えません。
でも、これから社会に出る若者たちにとっては、それこそまだ見ぬ未知のステージ。
期待と不安入り混じるこの時期に、本書を手にとって『働くということ』に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
労働の本質は自己実現
「労働の本質は自己実現」。
これはオビに書いてあるものですが、この力強いメッセージ、私は疑いなく信じます。
労働とは、働くということは、その仕事、業務を通じて自己実現を果たすこと。
自己実現というのはとても難しく、深みのある言葉ですね。
成長とも言われるし、ありのままの状態とも言われます。
具体的に、ミュージシャンになりたいとか小説家になりたいというようなものではないと思います。
ミュージシャンになりたいというのは表面的な欲求であり、その背景には自分のメッセージを世界中に届けたいというようなものがあるはずです。
そのメッセージはきっととても崇高なもので、それこそが自己実現の本質なのだと思います。
働くということも、ミュージシャンや小説家のような華々しさはなくても、本質的には通じるものがあるのです。
労働と自己実現を切り離してしまうと、その瞬間から労働はただのつまらなくて疲れるだけの作業と成り下がります。
働くことで、社会との繋がりや自分の存在意義を感じていくことができるのです。
決して、人は日々の糧のためにのみ働くのではありません。
社会は生産性を上げながら遣り甲斐を奪う
働くということそのものは、とても意義のあることです。
ですが、生産性を向上させるためには効率を上げなければなりません。
効率を上げるために、世の中の仕事は分業し、専門化していきました。
工場では細かく工程が分かれ、ラインが導入され、ベルトコンベアで流れていく製品に対して、自分に任せられた単純作業をこなすのみ。
こうして社会は生産性を上げ高度化するにつれて、自分が何を作っているのか、何に携わっているのか、わかりにくくなっていきます。
効率化、分業は別の面から見れば遣り甲斐搾取であって、さらには責任感の希薄化にもつながります。
「働くことはなぜ面白くないか」という書中の問いの答えが、人間ががんばって頭をひねって生み出した仕組みやテクノロジーによるものだというのは皮肉なことです。
それでも、仕事を続けていく中で多くの工程に携わり、時には一人で完結する仕事などを経験することで、人は働くということの意義に気付くことができます。
サラリーマンこそ、自由の表現者になりうる
著者は、このような不自由さの中にこそ、自由を見出せると言います。
つまり、本書で言うところの「目覚まし時計、ネクタイ、満員電車」という三悪で自由を制限されたサラリーマンこそ、自由を表現する主体となることができるのです。
なんと!サラリーマンとはかくも面白いものなのか!!
ここまで言うと誇張のように思われるかもしれませんが、私自身、自分なりの方法でサラリーマンとしての自由を表現し、今があります。
本書を読むとサラリーマン中堅プレイヤーである私も、働くということ、サラリーマンであるということに改めて希望や誇りすら見出す思いです。
まとめ的なもの
本書が書かれたのは1982年です。
今とは経済の段階も働き方も大きく変わっています。
そんな中で昔のサラリーマン哲学を引っ張り出しても仕方がないと思う方もいるかもしれません。
確かに、上辺だけのノウハウ本なら時代とともに廃れてしまうものです。
でも、原理原則、根底に置かれるべきマインドは時代が変わっても揺るがないものです。
『働くということ』は、シンプル故にいつまでも廃れない、働く者を動機づけしてくれて、勇気づけてくれる、そんな本です。
『迷路の外には何がある?』ベストセラー待望の続編、信念は変えられる。
ヘムのその後の物語
先日読んでエントリーしたばかりの『チーズはどこへ消えた?』ですが、エントリーの最後にも書いた通り、さっそく続編を読みました。
タイトルは『迷路の外には何がある? ―『チーズはどこへ消えた?』その後の物語』。
前作『チーズはどこへ消えた?』の中で、二人の小人の内の一人、ホーは変化を受け入れチーズを手に入れました。
ですが、ステーションCで動けないままだったヘムがどうなったのか、読者の想像にゆだねられていました。
続編である本書『迷路の外には何がある?』は、 そのヘムが主人公になり、変化していく過程を描いた物語になっています。
2冊揃えて完結する話
続編である『迷路の外には何がある?』を読み終えてまず感じたのは、二冊で一対だなということ。
続編が発売されて読み終えた今だから言えることですが、どちらか一冊だけでは物足りなさを感じます。
『チーズはどこへ消えた?』はチーズ、つまり目的にフォーカスしたものでした。
職場や家庭という迷路の中で遣り甲斐を失ってしまったり、幸せを感じなくなった時に、新しいチーズである遣り甲斐、幸せを探しに行きましょうというお話。
本シリーズはある集まりやセミナーでの会話から話が始まり、その会話の中で紹介される形でネズミと小人の物語が始まります。
そして物語が終わった後は、また会話に戻り、感想や学びを発表し合います。
前作の、最後の学びの一幕。
「そのとおりだよ。新しいチーズというのは、同じ相手との新しい関係のことなんだ」
このことからも、『チーズはどこへ消えた?』では、迷路を変えることよりも、新しいチーズを探すことを説いていることがわかります。
ステーションCからステーションNへと移動しているので、迷路を変えることにも言及しているじゃないかと思われるかもしれませんが、それでもやはり、主となるテーマはチーズではないでしょうか。
ふたつの問題解決手段
続編が出た今、それぞれをチーズの話、迷路の話と定義付けしなおす必要があると思います。
そしてそれぞれがどんな問題をはらんでいて、何を課題として抽出し、どんな解決手段を提示してくれるのか。
そんな視点でこの二冊を見ることで、読み手は二つの異なる問題解決手段を手に入れることができます。
置かれた場所で咲く方法
『チーズはどこへ消えた?』では、上記の通り、「同じ相手との新しい関係」を提示してくれます。
自分の迷路が職場であれば、転職せずに、今の上司との折り合いをつける方法といえるでしょう。
または、つまらないと思っていた仕事の取り組み方を変えることで、遣り甲斐を見つけられるかもしれません。
つまり、今の場所から逃げ出したり放棄するのではなく、視点を変えることで、もう一度向き合おうというものです。
『置かれた場所で咲きなさい』という本がありますが、咲き方が分からなくなってしまうこともあるでしょう。
そんな時に新しい咲き方を考えさせてくれるのが『チーズはどこへ消えた?』です。
線上での移動ではなく、シフトする方法
一方『迷路の外には何がある?』では、前作で置いてけぼりにされたヘムが、なんと迷路の外に抜け出します。
迷路とは家庭や職場の比喩でしたので、それを抜け出したということは、離婚や転職をしたと言うことでしょうか?
いいえ、そうではないと思います。
続編ではありますが、すべての前提を引き継いではいないなと、私は思いました。
今回の迷路は、言うまでもないですが、書中何度も出てくる「信念」です。
この信念とは、うまくいっているときは自分の軸となるものですが、変化が必要なフェーズでは、凝り固まった思い込みになってしまします。
古い信念はあなたを囚人にしかねない
りんごに書かれたこの言葉から、古い信念とは監獄にすらなりえるということがわかります。
他人の意見を否定から入ってしまう人、いますよね。
こういう人は、自分の信念という監獄の囚人になっているので外で起きていることを見ることができず、受け入れられないのです。
もちろん、信念とはこれまでのその人の失敗や成功といった経験の積み重ねでできているので、その人のアイデンティティでもあります。
だから簡単に変えることなんてできない、などと考えていると、ヘムのようになってしまいます。
同じ線上にいると、頑張ってもあまり大きな変化は望めませんが、曲線を左右にシフトさせてしまえば、ドラスティックに変化していくことになります。
まとめ的なもの
二冊とも人生における変化を促してくれる物語ですが、登場人物のホーとヘムがとった行動は異なります。
でも、最終的に二人は良い形で再開することができます。
方法の違いはあってもチーズを手に入れることはできるし、リンゴという選択肢を増やすこともできるのです。
変わり始める前のホーやヘムには、思いもよらなかった新しい世界でしょう。
私たちの生きる世界もまったく同じで、変化することに慣れ、周囲にアンテナを張り巡らせて、信念をアップデートしていかなければなりません。
そうすることで、日々のストレスから解放されるだけでなく、充実感を得ることができます。
かくも短くてシンプルな二つの物語ですが、チーズやリンゴに書かれた言葉は、とても大切な人生の原理原則です。
これらを抽象化して転用することで、人生のあらゆる場面で多くの示唆を与えてくれるものになるでしょう。
『迷路の外には何がある?』 ――『チーズはどこへ消えた?』その後の物語
- 作者: スペンサー・ジョンソン,門田美鈴
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2019/02/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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『ファクトフルネス』データを見誤って勝手に悲観的になる私たち。
世界を正しく読み解こう
今回読んだのは、TEDトークに出演したこともあるハンス・ロスリングの著書、『FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』です。
世界で100万部越えの大ベストセラーとのことですが、日本でもものすごく人気で、どこの書店でもビジネス書の売れ筋ランキング5位以内に入っています。
少し前まではどこの書店に行っても、ビジネス書コーナーの1位でしたね。
世界中でテロが起き、紛争が始まり、いままでになかった自然災害も起きている。
テレビなどでニュースを見ていると、あたかも世の中は悪い方向に進んでいるように感じてしまいます。
でも、それは本当に正しい認識なのでしょうか。
『ファクトフルネス』では、そんな世の中の認識にデータをもって立ち向かいます。
人間はチンパンジーよりわかってない
『ファクトフルネス』は、イントロダクションでいきなり読者にクイズを投げかけます。
見たところ、とても単純そうな13問の問題です。
貧困、教育、環境、エネルギー、人口問題、これらに関する問題で、三つの数値のうちどれが正しいかを答える問題です。
私も答えてみましたが、やっている最中はほとんど悩むことはありません。
でも、答え合わせをした結果…なんと13問中6問しか正解できませんでした。
ただ、5割を切るような散々な正解率でも、著者が行ってきた1万2千人の平均よりはマシとのことで、安心しました。
13問目は問題として問われ始めたのが最近なので正解率も高いのですが、これを除いた12問の平均正解数は、なんと2問…。
私は最後の正解分を差し引いて5問正解です。
本書では、文字の読めないチンパンジーでも三分の一の4問は正解するとしています。
つまり、多くの人はチンパンジー以下、ということになりますね…。
人間の本能は思い込む
我々は日々ニュースを見て、新聞や雑誌、本を読んで情報を得ているはずです。
それなのになぜ、これほどまでに正解率が低いのか。
これが本書のテーマです。
正解率が低いのは、もちろん本当にチンパンジー以下だからというわけではありません。
人間には本能による10の思い込みがあり、その思い込みがデータを見誤らせる、というのが著者の主張です。
分断本能、ネガティブ本能、直線本能等々、詳しくは読んでみてくださいね。
このような思い込みは知識人でも陥りやすく、そのために、専門家やジャーナリストが誤った情報を悪気もなくばら撒いてしまっているという現実も示唆しています。
ただ、本書で取り上げるデータは、独自にリサーチした結果などではなく、国連などの国際機関が公表しているありふれたデータです。
最も有力で信頼のおける機関ですから、このデータに書いてあるようなことは、専門家なら当たり前に知っているはずのこと。
なのに、その道の専門家が集まる会議で12問の質問を行うと、一般人と変わらないような正解率なのだそうです。
思い込みというのはかくも恐ろしいものなのですね。
どのようにして正しく見る習慣を身に付けるか
副題にある通り、データを基に世界を正しく見る習慣を身に付ける必要があります。
まずは噂や直感ではなく、正しいデータを基に考えること。
データが最新のものにアップデートされていること。
そのうえで、データを一つの方向から見るのではなく、多面的に見ること。
これらを習慣づけることで、10の思い込みから解放されて、正しく世の中を見ることができるようになります。
今の常識は、テストの結果の通り、正しくありません。
20年前のデータに基いたもので、これはアップデートされる必要があります。
最新のデータを見れば、それほど世の中は悪くないということがわかります。
『ファクトフルネス』は、学び・気付きの多い本ですが、最もシンプルで大切だと感じた学びは「悪いことが起きているということと、世界が良くなっているということは両立する」ということです。
ニュースで社会問題が大きく取り上げられていたとしても、ほとんどの場合、昔と比べると、全体と比べると、良い方向に向かっているのです。
あたかも悪くなっていると言われていることについて、本書では「減り続けている16の悪いこと」と「増え続けている16の良いこと」といった形でデータを示しています。
ミクロの視点では悪いことが起きていても、マクロの視点では世界は良くなり続けているのです。
悪い悪いと悲観する前に、正しいデータを見ること、過去と現在を正しく比較すること。
たったそれだけで、世界の見え方は変わりますし、世界が良く見えると、きっと幸福感も増すでしょうね。
まとめ的なもの
本書の示唆するところは、データを正しく見る習慣をつけるだけにとどまらず、短絡的な思考や行動の抑制にもつながります。
ただのビジネス書として最新データを読み解くのみならず、人間は思い込みの生き物だと知ることで、あらゆる場面で我々を自己抑制的たらしめます。
思い込みのいくつかは、人間の脳の最も原始的な部分にあって、何十万年もかけて刷り込まれてきた本能に基づきます。
これらの本能があるということを知ってなお簡単に抗えるものではありません。
それでも、少しでもそのような本能を抑え自律的であるためには、物事を正しく見ることを、日々の習慣としていく必要があるのでしょうね。
また余談ですが、本書の翻訳を手掛けている関美和さんという方は、先日紹介した『EQ 2.0』や、ピーター・ティールの『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』の翻訳者でもあります。
なにも気にも留めずに購入した本ですが、とても短い間に同じ翻訳者の本を3冊も手に取るとは、何か運命的なものを感じます。
Amazonで検索してみると、他にも有名なベストセラービジネス書を手掛けているようです。
ビジネス書の翻訳と言えば村井章子さんをよく目にします。
訳者で本をチョイスしてみるのも悪くないかもしれませんね。
また機会があったら、試してみようと思います。
FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
- 作者: ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロスリング・ロンランド,上杉周作,関美和
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2019/01/11
- メディア: 単行本
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