サラリーマン行政書士の読書日記

本ブログは、サラリーマン行政書士である私が、本業、副業、中小企業診断士に挑戦若しくは奮闘する様及び読書記録を綴るブログです。



契約書の印紙税、そこまで節税しますか?

こんばんは。

 

 

サラリーマン業としての一年は明日で終了です。

行政書士としての仕事もなんとか年内に一件完了いたしました。

行政書士としての次のお仕事はいつになることやら。

 

さて、4月頃から会社法務担当として契約書の作成、修正を行うようになりましたが、簡素なものも含めると、30件以上のリーガルチェックを行いました。

まだまだ参考書片手にですが、盛り込むべき条文や言い回しの仕方など、多少は身についてきました。

 

昨日、グループ会社の三者契約書を作成した際は、先方役員にもお褒めのお言葉頂き、少し舞い上がってしまった次第です。

法律というものは、勉強中は何となく味気ないもののように感じますが、いざ実務、契約書となると、一気に相手の顔、目的物、力関係、ビジネスの全体像が見えてきてとても面白いものです。

年が明けたらまた大きな契約書の作成が控えているので、ますます勉強していかなければなりませんね。

 

そんなこんなで法務業務を行なっていると、いろんな契約書に出会います。

なかでも今気になっているのは、文言を工夫して印紙税を節税するというもの。

 

契約書のなかには、印紙税法上の7号文書というものに該当するものがあります。

新規のお取引を開始するときによく締結する取引基本契約書も、通常7号文書に該当するものです。

 

通常、ということは、そうでない場合もあるということ。

契約書で通常定めるいくつかの項目を確定させないことで、7号文書の対象外となります。

7号文書に該当するものとして

・目的物

・数量

・単価

・支払方法

・損害賠償の方法

 これらを満たすことが挙げられますが、反対解釈として、これらを確定させないでおけば、7号文書に該当しないということになります。

7号文書以外のものに該当することもありますので注意は必要ですが。

 

甲乙二通作成すれば両社で4,000円ずつ印紙税を貼るところ、貼らなくてよいとなると大きな節税です。

基本契約書などはお客様の数だけ結ぶということになるので、100件締結すれば400,000円の節税です。

毎回結び直すものではないので、均してしまえばもっと小さいですが、文言一つで節税できるなら、やらない手はありません。

と思いきや、という話ですよ。

 

大手はしっかりとした弁護士さん、経験豊富な法務部門が契約書を作成するので、不足なく節税もできる契約書の雛形を作成できるのでしょう。

 

でも、中小企業はそうはいかない。

実際、これネットで拾ってきたか、そのコピペでしょ?という契約書が差し入れられてくることもしばしば。

そういうものの中に、上記のようなスキームを「用いよう」とした契約書も見られます。

でも、あまり分かっていないのにこのような契約書を作成すると、「別途協議することを定めた契約書」が出来上がってしまうこともしばしば。

 

節税は大いに結構だと思います。

でも、元々、なんで契約を書面に残そうと思ったのか、その趣旨を外しては意味がありません。

 

契約書を結ぶことは手段であって目的ではないのは当たり前なのですが、色々とこねくり回した結果、目的を喪失してしまったか、別のものに差し変わってしまったかのような契約書を目にすることがあります。

 

行政書士は、弁護士のように争いのある法律関係に首を突っ込むことは出来ません。

行政書士の範囲は予防法務と呼ばれるものです。

 

契約書実務をやっていて、まさにこれは行政書士の範囲なんだなぁと思っています。

新たなビジネスを行うにあたり、先んじて協議し、それを書面に残す。

これによりその後の取引のルールが明確化され、事業のコアな部分のみに注力できる。

 

この、コアな部分に注力、というのは、法務の世界だけのことではありません。

 

今はあらゆる間接業務にアウトソーシングサービスが存在します。

間接業務どころか、直接部門の一つをアウトソースすることだってあります。

営業活動をアウトソースして製造に注力するメーカー。

一方でファブレス化などして営業活動、マーケティングに注力するメーカーも。

企業は自社のコアに注力できる土台作りに余念がありません。

 

予防法務をしっかりと行うことは、上記と同様にコアに注力できる土台作りに他なりません。

印紙税を節約してコストカットもよいですが、言った言わないになって関係性を崩すリスクを残してしまうのも怖いですし、もし法廷で決着をなどとなったら、印紙税の節約分など一瞬で飛んでしまいます。

それこそ全顧客に対して行った節税分が、です。

 

それならば、出来る限りを盛り込んで、禍根を断つ契約書を作成した方が、相手方との信頼関係を築く上でも好ましいのでは、などと考えてしまいます。

7号文書分の印紙税なんて、長いお取引の中ではなんら気にならない程度の微々たる金額ではないですかね。

 

いかがでしょう。

思うことを徒然なるままに書いてみました。

 

 

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