サラリーマン行政書士の読書日記

本ブログは、サラリーマン行政書士である私が、本業、副業、中小企業診断士に挑戦若しくは奮闘する様及び読書記録を綴るブログです。



新人研修、企業戦略ゲームの結果は…。

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今日は、先日のエントリーで紹介した企業戦略ゲームについて。

とあるセミナーでやった経営ゲームに触発されて作ったものですが、これを新人研修に投入してみたので、その結果をお伝えしたいと思います。

 

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企業戦略ゲームとは。

結果の前に、ゲーム概要を説明します。

 

ゲームを始めるにあたり、まずは会社を設立します。

それから下の各フェーズを、プレイヤーが順番にこなしていくことで進行します。

  1. 借入
  2. 仕入
  3. 販売
  4. 経費支払
  5. 決算

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これを1サイクル=1期として、5期分回してもらいます。

また、各フェーズを終えたら、そのフェーズの行動を、貸借対照表、損益計算書に書き込んでいってもらいます。

ここが一番肝心で、座学でなにやらわけもわからないまま詰め込まれた会社の数字を、自分で作りながら、会社がどう回っていくのかをざっくりと捉えてもらう。

決算が一番のミソなのですが、これは順に説明しますね。

 

借入フェーズでは、資産の2/3を限度に、新規に借り入れをすることができます。

経営がうまくいかないと、設立時の借入金だけでは運転資金が底をついてしまいます。

そこで、追加融資をできるシステムにしてあります。

 

仕入フェーズでは5つの商品の中から取り扱う商品を選び、数量も自分で決めることができます。

種類は、車、ビル、土地、貴金属、ギター。

どれを選んでもかまいませんし、数種類選んでもかまいません。

 

販売フェーズでは、サイコロを振っていただきます。

サイコロの出目により、販売価格が決定します。

このサイコロを景気の波として、4段階の販売価格が設定されています。

良いときは大儲け、悪いときは大損…という具合。

土地や貴金属は、出目によっては荒稼ぎできますが、悪い出目だと一気に資産を失ってしまいます。

また、このゲームのひとつのミソとして、仕入れたものを全て販売しなくてもよい、というルールを設定しております。

これにより、商品を翌期に繰り越すことになり、売上原価の理解促進を狙います。

 

経費支払、このフェーズはシンプルに、再度サイコロを振り、出目によって決まった経費を支払います。

 

そして最後はお待ちかね、決算フェーズです。

ここでは、各フェーズで記載してもらった損益計算書を最後まで完成させ利益を確定させます。

それを貸借対照表に転記し、さらに当期分の借入金の返済をし、貸借対照表もすべて完成させます。

もちろん、貸借対照表は、左右が一致するかまで見ます。

ふたつの表が完成したら、「自己資本比率」と、「ROA」を計算していただきます。

 

これにより、会社を安全に経営し、成長、存続させていくことを学びます。

 

企業戦略は楽しみながら、ゲームで覚える。

 目的としては上記の通り、座学、テキストで学んだ知識を定着させること。

その方法としては、穴埋め問題やホワイトボードに図示したりしてもよいのですが、過去の経験としては、これもあまりピンとこないようです。

 

それもそのはず。

ついこの間入社したばかりの子は、財務三表なんて見たこともありませんから。

でも、営業になれば、毎月売上、粗利を管理していかなければならない。

最初からある程度の数字に対する意識は持ってもらわないといけません。

 

では、どうやって理解に繋げるか、それは「楽しみながら覚える」ということだと、私は思いました。

テレビで脳科学の番組などを見ていると、「脳が喜ぶ」ということが言われています。

楽しんでいるときはよく覚える、というのです。

これを利用しない手はないですし、私自身も楽しくやりたい。

そんなわけで、このゲームを取り入れたわけですが、さぁ結果はどうでしょうか…。

 

「今までで一番楽しい研修でした」

いただきました、ごちそうさまです。

新人さんたち、4月の頭から一ヶ月半、毎日研修漬けです。

その中で一番楽しいというのは、私としては一番嬉しい言葉です。

 

勉強するのが研修ではありません。

しっかりと学びを得ることが研修の目的。

座学と小テストばかりの眠たい眼をこすりながら耐えなきゃならないような研修は、きっと学びも少ない。

だから脳が喜ぶ研修をしたかったわけです。

この隠れテーマ、ミッションコンプリート!です。

 

もちろん、楽しんだだけでは意味がなくて、しっかり学んでくれたかどうかが重要ですが。

ただこちらも、決算書作成の作成時間がどんどんと短くなっていったので、学び、理解してもらえたものと思っております。

第1期目は時間がかかったのに、2期目、3期目となると、数字の持っていき方がだんだんわかってきたようで、説明しなくてもサクサク作成できるようになりました。

2時間程度のプレイ時間で、第1期を終えたところで40分かかっていたので、ちょっと5期回せるか心配でした。

それが最後の5期は15分で回すことができ、なんとか定時、ちょい過ぎで終えることができました。

 

私にとっても、今までで最も楽しい新人研修になりました。

新人研修を受け持つようになって5年目。

毎年、少しずつではありますが、内容を精査、修正してきました。

その中でも、今年はかなり大きく内容を変えた年です。

新人も私も、お互い楽しみ学ぶことができ、とても有意義な研修となりました。

 

企業戦略ゲーム、反省点は…。

さて、今回5期やってみた結果として、いくつか反省点も出てきております。

この企業戦略ゲーム、来年に向けてブラッシュアップする必要があります。

それは…。

  • 全員借金を返済し、自己資本比率100%になってしまった。
  • 貸借対照表、損益計算書の数字の動きが煩雑。
  • 銀行役(私)がまだ慣れていない…。

 

ひとつめは本当に盲点でした。

設立時借入金は、5期かけてすべて返済するのですが、途中で必ず追加融資があるだろうなと思っていたのに…。

実際、数字のバランスをとるために何度か一人でゲームをやってみましたが、その時は追加融資が必須だったのに…。

二人、追加融資をしたプレイヤーもいたにはいたのですが、二人とも、1000万借りた!博打にでた!成功した!即返済!という感じで…。

サイコロの出目による景気の波の演出は、ちょっと乱高下激しすぎたようです。

 

つぎに決算書の書き方。

分かりやすいように、書いていく順番に付番しておいたのですが、それでも簿記を知らない人にとっては、難しいようです。

現金で売上計上した時、貸借対照表に現金入金を書いて、売上はどこに書けば?と、きょろきょろしてしまう。

売上は損益計算書に記載するのですが、ちょっと探してしまいますね。

書き方の簡易マニュアルを作り、最初に説明する必要がありそうです。

 

最後は銀行役である私が不慣れだったということ…。

どれを売るか選んでもらう前にサイコロを振らせてしまったり、仕入代金とりっぱぐれそうになったり。

各プレイヤーは、自分の番以外は、他のプレイヤーを見てわいわいやっているのですが、私は出目による金額計算、お金のやりとりをしているので、なかなか忙しいのです…。

ゲームって、胴元が一番忙しいですね。

来年もまだ私がやることになるとは思いますが、その時に慌てないように、また次の人に引き継げるように、こちらもマニュアルの作成をしようと思います。

 

新人研修、企業戦略ゲームのまとめ

学ぶことは勉強することにあらず。

楽しんで、効率よく学ぶことが可能だと、今回の経験で確信しました。

 

疲労が溜まったりモチベーションが下がったりすると生産性も下がると言います。

同じく、楽しんで能動的に参加するようになると、生産性も上がるということ。

 

もしかすると、今回の経験で一番学ばせてもらったのは私かもしれませんね。

 

 

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