人生3.0から人生5.0への「LIFE SHIFT」
先日読み始めました~と報告していた「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)」ですが、ようやっと読み終えました。
LIFEのステージをSHIFT する
最近やたらと2.0とか3.0ってタイトルの本が出回ってますよね。
「お金2.0」、「日本3.0」、「コトラーのマーケティング4.0」。
バージョンがどんどんアップデートされております。
今回のタイトルの3.0、5.0は、本書の中で出てくる人生のステージからきています。
正確には、3ステージ、5ステージと言っていましたが。
3ステージとは、教育、仕事、引退のみっつ。
5ステージとは、教育と引退の間を増やす生き方です。
副業のようなポートフォリオワーカーだったり、自分探しのエクスプローラーだったり、インディペンデント・プロデューサーとして起業の道を歩んだり。
5ステージとは言っていますが、必ずしも「5」にこだわるものではなくて、今までよりも複雑になっていきますよ~というくらいの理解でよいと思います。
書中では3ステージから、人生が長くなるにしたがって、4ステージ、5ステージという言葉が使われております。
LIFE SHIFTは人生設計のアップデート
ただ、私は読んでいて、これは単純なステージ数の問題ではなく、バージョンのアップデートだなと感じました。
なぜなら、教育についても中身を変えながら、2ステージ以降も継続しなければなりませんし、仕事も転職して乗り換えるというわけではなく、選択肢は多岐にわたるからです。
階段を上っていく、オプションが増えて、順番もシャッフル可能になったという印象。
ですから、あえて人生5.0と言いたいですね。
さて、さらっと本書の内容を箇条書きにしてみましょう。
- 平均寿命は伸び続けている
- そして人生100年時代への突入へ
- 人生100年時代では3ステージモデルは崩壊する(資金面により)
- 新しいステージの登場(エクスプローラー、インディペンデント・プロデューサー、ポートフォリオ・ワーカー)
- レクリエーションよりリ・クリエーション
我々日本人は世界でも最大の長寿大国であり、平均寿命の伸びは言うまでもなく実感しているでしょう。
今は平均寿命80~85歳ですが、あくまで平均ですので100歳を超える長寿の方もいらっしゃいます。
食も満ち足り、医療やテクノロジーの進化により、今後は100歳を超えるのが当たり前という社会になっていきます。
これが人生100年時代であり、本書に登場する1998年生まれのジェーンとその世代は、それが当たり前になる世代と言っています。
今丁度二十歳を迎えた世代ですね。
人生100年時代とは、まさにお金の問題
これだけ長い人生、今までのように60歳や65歳で引退すると、どうなるのでしょうか。
既に日本では定年を70歳に引き上げるという話が出ています。
これは政府・行政サイドの都合で、年金の原資の問題ではあります。
でも、お金の問題ということは、ひるがえって自身の貯蓄の問題としても考えなければなりませんね。
寿命が80歳だった時代、定年が60歳なら老後は20年でした。
人生100年時代は、60歳で定年では、40年も老後があります。
リタイア後の人生を楽しみたい!と思っても、40年働かずに生活しているだけの原資は、残念ながらありません。
現実的に考えると、70歳、80歳まで働かなければ!ということになります。
このことを著者は「オンディーヌの呪い」という表現をしています。
オンディーヌの呪いとは神話らしいのですが、浮気をした夫神に対し、妻神が呪いをかけた、と。
どんな呪いかというと、寝ると死ぬ…という呪いです…。
神様の喧嘩は恐ろしいですね…。
LIFE SHIFTからの新たなステージの提案
つまり、人間も同じく、引退して悠々自適な生活を~とはいかないのです。
ただし、本書はそんな恐ろしい未来を見せたいわけではありません。
今の若者たちが、もしこれまでと同じ3ステージ制人生を歩むのなら…ということになります。
そうならないように、3ステージモデル崩壊後の、新たな3ステージを見せてくれています。
エクスプローラー
今もギャップイヤーというものがありますが、これとはまた異なります。
ギャップイヤーは高校卒業後から大学卒業までの間に、又は大学卒業後から就職までの間に、通常一年間に限って何らかの活動を行います。
エクスプローラーは一年に限るというものではありません。
またタイミングも、30歳、40歳に行うことも想定されます。
なぜかと言えば、新たな無形資産を形成し、次のキャリアに結び付けるものだからです。
ただの青臭い自分探しとは違うのです。
インディペンデント・プロデューサー
名前の響きがよいですよね。
起業ですが、日本はこれがとても弱い。
中小企業白書の起業率のデータを見ると、先進国中最下位になっています。
それも抜きつ抜かれつではなく、ずっと、ダントツな低空飛行なのです。
終身雇用、年功序列、集団就職、護送船団。
日本の古き良き就職活動は、まさに今イノベーションのジレンマにすっぽりハマっております。
高度成長期は画一的でよかったし、それが最大の原動力に繋がった。
そうして敗戦から半世紀も経たずにアメリカに次いで第二位のGDPを誇っていたのです。
この成功体験から抜けられない日本は、いまだに安定志向、大企業志向が高いのです。
日本はここをもっと改善していきたいですね。
起業にかかる費用、時間、煩雑な書類、これらを簡素化するだけでも新しいステージにチャレンジできる人たちは増えます。
ポートフォリオ・ワーカー
副業、複業、パラレルキャリアですね。
でも、これも単に安月給を埋めるためのものではありません。
時間を売って不足を埋める働き方では身が持ちません。
これはやはり、なんらかの形で主たる仕事に相乗効果が生まれるものがよいですね。
私も、相変わらず業務には結び付いておりませんが、行政書士として、サラリーマンとは異なる社会との接点を模索しております。
また、異なりはするものの、すでに行政書士として学んでいることがサラリーマン人生にも好影響を及ぼしております。
企業は副業の負の側面ばかり見ずに、従業員の成長を信じて解禁に動いていただきたいです。
まとめ的なもの
さて、ここまで次世代のカッコよさそうな生き方が紹介されてきましたが、そんなに人生甘くないよというのは、3ステージの時代から変わらないところ。
むしろ、3ステージモデルが崩壊したから適応していかなければならないのですから、個人だけでなく社会がこういった生き方を容認していかなければなりません。
過渡期である現在は、様々な面で偏見や古い常識と対峙する場面が出てくると思います。
人生100年時代は決してディストピアではないですが、ユートピアでもありません。
長い人生を贈り物、恩恵として考えられるよう、LIFE SHIFTしていかなければならないということです。
そのためには、休日をレクリエーションにばかり費やすのではなく、リ・クリエーションの割合を増やしていかなければなりません。
生涯学習、リカレント教育、最近はやっていますね。
大人になってからこそ、受験のための暗記教育ではなく、人生を豊かにするための学びの時間を確保し、増やしていきたいものです。