IT導入における業務プロセス見直しの重要性。
先日の投稿で2018年版の中小企業白書、小規模企業白書が公開されたと書きました。
早速、「2018年版白書 10のポイント」について、読んでいきたいと思います。
- 業務プロセスの見直しが生産性向上の大前提
- ITツールをしゃぶり尽くせ
- IT導入の前に、まず「現状認識」、問題点の洗い出しを。
- ITツールの優秀さが、問題点を覆い隠してしまう。
- さぁ、ITツールをしゃぶりつくそう
- 「IT導入補助金」も活用しましょう
- まとめ
業務プロセスの見直しが生産性向上の大前提
まずは10のポイントのなかで、読んでいて特に納得感のあった
3.IT導入などを行う上でも、業務プロセスの見直しは生産性向上の大前提
というポイントについて触れたいと思います。
概要の該当ページを見ると、残念なことにタイトルの割に、それらしきことは語られておりません。
投資、多能工化、アウトソーシングを行なった企業は、行わなかった企業に比べて15〜20%の生産性向上が見られた、という調査結果のみ。
私自身、社内でIT導入を積極推進しておりますが、ポイントにある「業務プロセスの見直し」こそが、投資やIT導入よりも重要なことだと考えております。
ITツールをしゃぶり尽くせ
当たり前の話ではありますが、新しいITツールを使えば、生産性が向上しないはずがないんです。
現状の業務を楽にするために作られたツールなのですから。
多くの企業がこれらITツールを使って、まったく生産性向上に繋がらないのなら、そもそもこんなにITブームになんてなっていません。
本当に当たり前のこと言って申し訳ないですが…。
問題は、そのITツールを、「どこまでしゃぶり尽くせるか」、です。
しゃぶり尽くす為に、説明書を隅々まで読みますか?
いえ、それは優先順位としては高くいないでしょう。
早い段階からそんなことをする必要はありません。
では「しゃぶりつくす」ために、何をするか?
答えは「今の業務プロセスを見直す」です。
少し回りくどくなってしまいますが、お付き合いいただければと思います。
IT導入の前に、まず「現状認識」、問題点の洗い出しを。
そう、実はとても簡単なポイントなんです。
簡単なポイントなんですが、システム導入が初めての企業や、販売して終わりのベンダーさんと組んでしまった場合、どうでしょうか。
見直しのプロセスを飛ばしてしまいがちなんですよね。
私もIT導入は大いに賛成、どんどんするべきだと思うのですが、一旦、熱い気持ちは横に置いておきましょう。
まずは一呼吸置いて、業務プロセスの現状認識を。
だいたいどこの企業もIT導入で補強するポイントは同じなのですが、業務プロセスは企業によって様々。
そしてIT導入を実行部隊として推進するのは総務や情シスですが、もちろんIT化する業務に精通しているわけでもありません。
例えば勤怠管理であれば、総務側で取りまとめる業務だけでなく、各拠点での運用がある。
営業と工場で開始時間、休憩時間が違うこともあります。
拠点の数だけルールが違うな、というのは実体験として感じたところです。
ですから、まずはこの現状のプロセスを把握し、問題点の洗い出しをする必要があります。
もしかすると、この見直しの中で、簡素化できる部分があるかもしれません。
そういうところがあれば、システムを導入する前に改善してしまいましょう。
なぜならITツールの多くは、まずベースがあって、そこに色々と機能を付け加えていくからです。
業務の改善・標準化が出来ていないと、多くの点をアドイン、オプションで構築することになり、コストもその分多くかかってしまいます。
その上、システムをそのように構築してしまうと、導入後に業務プロセスを見直そうと思ったときに、このシステムもまた修正しなければならなくなります。
つまり、後日余計なコストを掛けないためにも、システム導入前に、現在の業務プロセスの問題点は改善・標準化しておく必要があるのです。
そして、導入時には極力、ベース、パッケージのまま導入するのが望ましいのです。
ITツールの優秀さが、問題点を覆い隠してしまう。
上記の通り、導入後の業務プロセス改善は多大な工数とコストをかけることになるのですが、それでもまだ、早い段階でプロセス改善・標準化に着手できればよい方です。
ITツールの優秀さが、業務プロセスの問題点を覆い隠してしまうことだって、あるからです。
わかりやすくするために少し極端な例を挙げてみます。
もし一人当たり月5時間かけて作成していた会議資料が、ITツールにより2時間で作成できるようにになったのであれば、どうでしょう。
半分以下になったので、みんな大喜びでしょうね。
でも、よくよく検討してみたら、そもそもその資料を上の人たちはほとんど利用していなかったら…。
それならば、なくしてしまってよい、という判断だってできるでしょう。
この場合、無くしてよい作業を、わざわざシステムにお金を払ってまでして減らしていたということになります。
完全に無駄ですね。
業務プロセスをしっかりと見直していれば、IT導入、システムにお金を払うまでもなく改善できたことです。
さぁ、ITツールをしゃぶりつくそう
ここにたどり着くまでに随分と大回りしてしまったようですが、実際にはIT導入においては避けて通れない、避けてはいけない道です。
業務プロセスの改善・標準化ができていると、導入するツールの選択肢も絞られてくるはずです。
業務プロセスが多岐にわたる場合は、どれを選んでもこちらを立てればあちらが立たずになってしまいますが、標準化されていれば、例外は少なくなっているはず。
後は、自社に合うものを選べばよい。
自社業務プロセスとツールがぴたっと合えば合うほど、ユーザーである従業員は使いやすいと感じますし、自発的にいろいろな機能を使い始めます。
結果として、大きなコストをかけたツールを、しっかりとしゃぶりつくしてくれることになるのです。
「IT導入補助金」も活用しましょう
下記記事投稿しておりますが、IT導入の際には、IT導入補助金というものもあります。
ベンダーさんに該当するツールなのか相談してみることもおすすめします。
3回にもわたり実施される補助金ですので、国のIT導入促進に対する熱意もうかがえますね。
まとめ
ここまで述べてきたことは、担当者としていくつかのITツール導入、事務作業改善に携わってきた経験からのものです。
私はSEという構築側の人間ではありませんので、専門からすると要件定義が甘いと思われるかもしれません。
ですが、中小企業において、そこまでヒト、モノ、カネを投入できないというのもひとつの現実。
そしてやったことない者同士が話し合っても、なかなか結論に至らないということも。
もしこれを読んでくれた方が、自身が身を置く会社の中で、IT導入をする際の一助になれば幸いです。
と、言うわけで、書き始めたら長くなってしまいました…。
今日はこれにて。