サラリーマン行政書士の読書日記

本ブログは、サラリーマン行政書士である私が、本業、副業、中小企業診断士に挑戦若しくは奮闘する様及び読書記録を綴るブログです。



行政書士こそ必読、弁護士が書いた「法のデザイン」。

f:id:co-ideal:20181115215637p:plain

 

 

『法のデザイン』読了

 

法のデザインー創造性とイノベーションは法によって加速する

ちびちびと4日かけて読みました。

並行して何冊か読んでいるので時間がかかりますね。

 

こういう読み方って、マンガ週刊誌を読んでた頃を思い出します(笑)

 

『法のデザイン』、少し古いような、でもモダンでミニマルな装幀に惹かれて購入したこの書籍ですが、中身はなかなかに重厚でした。

 

法律駆動で世の中を加速する

 

テーマはタイトルの通り、法律によって創造性とイノベーションというテクノロジーやビジネスの世界を加速してくこと、です。

 

現代はアフターインターネットの社会。

ムーアの法則に従ってテクノロジーが加速度的に発達し、その結果、法律整備は遅れ、現実との乖離、グレーゾーンが拡大しています。

本書ではこれを法律の余白と言っています。

 

法律は新しい技術やそれを用いたビジネスが広まる中で整備されます。

何も問題やニーズがないところに、いきなり法律は生まれません。

ですから、法律というのは常に後追いです。


近年の例で言えば、ビットコイン、Airbnbの登場により、仮想通貨法や資金決済法、民泊新法が作られたり改正されたりしています。

また、Uberその他ライドシェアサービスは世界中で広まっていますが、日本ではあまり聞きません。

その背景には白タク問題があり、法律改正の遅れから、ビジネス面でも世界に後れを取っている形です。

これについては、ソフトバンクの孫会長もSoftBank Worldの中で声を大にして指摘されていました。

(無論、法整備が遅れている背景というのもあるはずで、日本の現状にライドシェアをなじませるために、先に解決しなければならない課題もあるとは思いますが。)

 

法の余白をデザインする

 

法律は常に後追いであり、この法の遅れ(law lag)が、余白を生みます。

この余白に対しての向き合い方、接し方が、本書が問題提起するところ。

 

大企業でも信じられない違反が公になっている昨今、日本社会ではコンプライアンスが声高に叫ばれています。

コンプライアンス、訳すと法令遵守です。

 

著者によれば、欧米ではコンプライアンスは「法律を守ること」というような捉え方ではないと指摘しています。

欧米では、法律やその解釈が時代とともに変化することを前提とした上で、法廷で権利を主張して戦い、ロビー活動をかけて法改正に持ち込む。

 

こうして企業が法律に積極的に関わることで、自らのビジネスモデル、ビジョンの安定性を確保しているのだとか。

つまり、これこそが法のデザインというわけです。


デザインというと製品などの外観を思い浮かべがちですが、もともとは問題解決のための思考や概念を指します。
つまり、見た目そのもののことではありません。

 

法律による問題解決、それが法のデザイン。

 

法でデザインすべき分野

 

本書では、音楽や出版といったの著作権から、不動産、金融、家族、政治まで、多岐にわたる法の余白とそのデザインについて語られています。

法律の本ですが、著者が著作権関係を得意としていることもあり、話題が音楽やアートに寄っています。

そのため、読み物としてもとても面白く、私は本書を読んで、ブライアン・イーノというアーティストを知りました。

 

そして通勤時、家での読書中に彼の音楽を聴いています。

 

AMBIENT1/MUSIC FOR AIRPOR

AMBIENT1/MUSIC FOR AIRPOR

 

 

アンビエントミュージック、環境音楽というジャンルだそうです。

歌ではなく、クラシックでもなく、読書の邪魔にはなりません。

今まではホワイトノイズという川のせせらぎなどを流していましたが、ここ数日はこのアルバムをリピートしています。

 

また、音楽や出版、アートというのは著作権ですので、行政書士業務の範疇です。

以前、行政書士本会の研修でオーファンワークスについて学びました。

 

www.co-idealblog.com

 

本書ではこのオーファンワークスについてのお話もあります。

著作権を中心とした知財に関する話題が半分を占めていますから、著作権をやられている先生が読まれると、感じるところがあるかと思います。

 

そして不動産の項で語られる民泊も、行政書士業務としてはタイムリーな話題です。

 

著者は弁護士の水野祐先生ですが、内容は図らずも?行政書士にとっても大いに関連してくる内容でした。

 

まとめー行政書士は法のデザインの最前線にいる

 

こうして見ていくと、行政書士という仕事がいかに現実の諸問題、それも現場に近いところで接しているかということを改めて感じます。

 

全体を通して興味が尽きることがない書籍で、読み終えてすぐエントリーを書きたくなる書籍でした。

本棚を彩る装幀ですので、読まなくてもマストバイ。

読むなら読むで、必読書です。

 

法のデザイン-創造性とイノベーションは法によって加速する

法のデザイン-創造性とイノベーションは法によって加速する

 

 

お問い合わせはこちらまで
メールフォーム

Copyright © Shinichi, all rights reserved.

PrivacyPolicy