サラリーマン行政書士の読書日記

本ブログは、サラリーマン行政書士である私が、本業、副業、中小企業診断士に挑戦若しくは奮闘する様及び読書記録を綴るブログです。



前田裕二『メモの魔力』夢をかなえるメモ。

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 『メモの魔力』読了

 NewsPicks Bookの新刊本『メモの魔力 The Magic of Memos』を、早速読みました。

タイトルに違わぬ魔力を秘めた本でした。

メモの魔力 -The Magic of Memos- (幻冬舎単行本)

著者はライブ配信サービス、SHOWROOM株式会社社長で『人生の勝算』(こちらもNewsPicks Book)の著者でもある前田裕二社長。

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ぐぐってみるとわかりますが、「前田裕二」と「メモ」がセットで検索候補として出てくるくらい、前田社長はメモ魔として有名な方です。前田社長はNewsPicksの動画コンテンツ、Weekly Ochiaiの前身であるLivePicksに出演されたときも、メモ術を披露していました。確か、お風呂に入るときでもメモ帳を持っているとおっしゃっていました。また、いつでもどこでもメモをとることができるよう、メモ帳のサイズも各種持っており、必要に応じて使い分けていると聞いて、驚いた記憶があります。

そんな前田裕二社長のメモ術を、単なる小手先のスキル、ノウハウとしてではなく、人生、世界を変えるほどの魔力を持った重要な自己分析ツールとして紹介してくれます。皆さんも是非、実践してみてください。

メモの効用

メモの魔力を語る前に、まずはメモの効用を。前田社長によれば、メモをとることを習慣化すると、五つの効用、鍛えられるスキルがあると言います。それは…。

  1. 知的生産性
  2. 情報獲得の伝達率
  3. 傾聴能力
  4. 構造化能力
  5. 言語化能力

の五つ。

それぞれ見ていきたいと思います。

知的生産性

これについて前田社長は「アイデアが出やすくなる」と仰っています。 私も紙のメモ帳ではないですが、スマホで沢山メモを残します。メモを残したことがらについては、メモを残さなかったことよりも多く、深く考えることになります。

これは5の言語化能力とも繋がってくるのですが、事実をメモ帳に書き留めるだけでなく、自分の意見、考え、疑問点なども書き込んでいくと、このメモをとるということ自体が知的生産に繋がります。それを何度も繰り返すことになるメモは、練習でありながら実践的なアイデア出しの場になるのです。

情報獲得の伝達率

これは3の傾聴能力とも繋がりますね。メモをしっかりと取ろうとしても、全ての情報を書き込むわけにはいきません。前田社長は「聞いたことを全て書きとる」とまで言っていますが、なかなかそんなテープ起こしのようなマネはできません。

でも、そのつもりで聞いていると、必然的にメモをまとめる力がついてきます。このまとめる力というのは、本書で大きく取り上げられている抽象化とも関係してきます。

傾聴能力

上記の「全て書きとる」つもりで聞くということを実践していくと、これまた必然的に、傾聴能力が向上します。ちゃんと聞いていなければ、メモとして書き残すこともできませんからね。アンテナをしっかり張り巡らして、「ひとつでも多くのことを聞きたい!」という前のめりな姿勢になることが大事。

また、話の中のどこが重要なポイントで、より深く聞いておかなければならないのか。これを見抜く能力も向上します。傾聴とは、ただ正確に聞き取るというだけではないんですね。

構造化能力

メモをただダラダラと書いていると、後から読んでも何のことだったか、どういう順番のメモだったか、わからなくなります。ですから、しっかりとフレームワークを作って、順序立てて、メモを構造化する必要があります。

とっちらかった情報はまとまりとして意味を成しません。単発のメモでは、あとから参照することができないのです。

上手なメモ帳の使い方、書き方を意識していると、構造化能力が向上します。

また、前田社長のメモノートは、自分が使いやすいように罫線が引いてあります。

このノートの一部、前田社長の本物のメモがびっしり書いてある実物を、惜しげもなく見開きで掲載してくれています。

なるほど構造化とはこういうことかと、非常に参考になります。

言語化能力

これは全てに通じる能力ですね。聞いたことを一字一句違わずメモ帳に書き写す、というわけにはいきませんから。メモは話を要約したり、自分の頭の中のもやもやした何かをしっかりと捉えて、言語化しなければなりません。もやもやが晴れないままのメモは、後から自分が見ても、なんのことかもはやわかりません。

これってものすごく勿体ないことですよね。疑問をもったということは、一段階深掘りしたとこうこと。それがなんだったのかわからなくなってしまっては、そのミーティングや講演で得ることができたものの一つを、取りこぼしたということですから。

言語化能力はメモに必須の能力であり、尚且つメモをとっていく中で鍛えられていくものでもありますね。

 

このように、メモを習慣化していくことで、自然と書くスキルが身について行きます。

考えてみると、新聞記者などは職業的なメモ魔ですよね。彼らの各記事は、内容に賛成、反対や信憑性の有無はあれど、しっかりとまとまっていて、読み手にすっと理解できるように仕上がっています。

情報の伝達、構造化、言語化の能力がいかんなく発揮されているということでしょう。これもメモの魔力ですかね。

フレームワークによりアイデアを生み出す

前田社長の『メモの魔力』、最大の特徴はこれでしょう。構造化能力のところでも書きましたが、ノートに罫線を引き…

「ファクト ⇒ 抽象化 ⇒ 転用」

という順番でメモを書き進めています。メモというと多くの人は備忘録のようなものをイメージすると思います。私も、いつもスマホでとっているメモは備忘録です。その場ではひたすら入力しまくります。

ですが、ここではこのようなメモのことは忘れてください。

前田流メモは備忘録にあらず

前田社長のメモは、一旦は備忘録としてとったものであっても、この罫線で分割されたノートの中で、しっかりと揉まれていきます。何度も言いますが、ここが『メモの魔力』最大のポイント。事実として書かれたメモを抽象化、一般化し、自分の事業や身の回りのものに転用できるアイデアとして具体化する。

これを読んだとき、どこかで聞いたなと思いました。以前読んだ『アナロジー思考』でもよく似た考え方がでてきたなと。それもそのはず、『アナロジー思考』の著者である細谷功さんの著書『具体と抽象』を、なんと前田社長も読んでいたのです。私はまだ読んではおりませんが、細谷さんの『メタ思考トレーニング 』、『アナロジー思考』を読んで、『具体と抽象』も是非読んでみたいなと思っていた書籍です。

さて、この『具体と抽象』という考え方が、どのように前田流メモに活かされているのでしょうか。

ファクトを抽象化する

まずは実際に目の前で起きたこと、聞いたことをメモにとります。これ自体は事実であり、個別具体的な事象ですから、「あぁそうだね」という感じ。これを抽象化してあげることで、事業や身の回りのものに転用することができるようになるのです。

「What」「How」「Why」

抽象化には三類型あり、それぞれの問いかけにより抽象化します。それぞれ得られる考課は異なります。

「How」が抽象化としては最も効果的とのこと。どのように?ということですから、たしかに転用のイメージですね。

「Why」はトヨタ生産方式のなぜなぜ分析にも通じるもの。ビジネスマンであれば、とにかくあらゆる商品、サービスにWhy?なぜ?を向けてみてください。

「What」は、抽象化の度合いはあまり高くないですが、上に挙げた「言語化」という意味では非常に重要です。それがなんであるかを抽象化してつかみ取ると、メモをとる力も向上します。

このWhat型抽象化については、前田社長も一言添えています。

人間は抽象化、そして言語化することによって、クリエイティビティを獲得しているのです。

この前後数行は、シンプルですが、とても納得しました。NewsPicks界隈だけかわかりませんが、最近やたら「言語化」という言葉を聞きます。でも、「言語化」はただのバズワードではありません。

考えていることを言語化できないと議論になりません。思考は個人ワークですが、最終的なアウトプットがなければ想像、妄想の域をでないので、やはり言語化してやる必要があります。

ですから、思考、議論などインタラクティブな行為を深めていくには、高い言語化能力が欠かせないのでしょうね。そんな言語化能力を鍛えられるというのですから、メモの持つ魔力は計り知れません。

抽象化ゲーム

さて、この抽象化というもの、意外と誰しも日常的にやっています。「Aって、Bだよね」という比喩がそれです。これは、抽象化したのちに別の物事組み合わせるものです。アナロジーとも言います。

この「アナロジー」という言葉がでてきて、いよいよ前田社長は『アナロジー思考』も読んだな?と、勝手にうれしくなってしまいました。読書体験は自分の中だけでなく、他人とも繋がるんですよね。

話が逸れましたが、このアナロジー思考が、抽象化能力を鍛えるのに最適な思考法なんです。そこで、前田社長が編み出したのが「抽象化ゲーム」。ゲームというとなんでも面白そうに思えるのでいいですよね。実際読んでいて面白そうでした。

ルールは簡単、「Aって、Bだよね」ということをみんなで考えるんです。このAとBは何でもよくて、目に入ったものを適当に選ぶんだとか。でも、Aはできるだけ汎用性の高いものにしておかないと、この「A=B」という命題を解くことは難解になってしまいます。

みんなでワイワイと、抽象化して、共通点を探っていく。その過程で、楽しみながら抽象化能力を鍛えているんだそうです。「エンタメとはハイボールである」なんて、ちょっとふざけているようで、それでも共通点を見つければ、妙に納得して面白そうですよね。

最近はゲーミフィケーションなんていうものが流行っています。仕事でもチーム内で目標を設定して競い合ったり、ゲーム性を取り入れて、楽しみながら仕事を進める取り組みがあります。この「抽象化ゲーム」もそういったものの一つですね。

夢をかなえるメモの魔力

こうしてメモにとってファクトを抽象化し、転用していくことで、身の回りで起こったこと、思ったことがどんどん自分の人生に反映されていきます。夢をかなえるということは、小さなことの積み重ねです。日々メモをためていき、フレームワークでアウトプットに繋げていくことで、ひとつひとつ、着実に、夢に結び付いていくのだと感じました。

イチローの言った言葉に、こんな言葉があります。

「小さいことを重ねることが、とんでもないところに行くただ一つの方法だ」

前田社長のメモも同じで、小さなメモを重ねていった結果、SHOWROOMという夢をかなえ、さらに絆や後天的な才能を伸ばす場を作り上げることができたのだと思います。

メモという本当に小さな、誰でもできることでも、熱意をもって継続していくことでこれだけのインプット、アウトプットに繋がるのです。まさに「メモの魔力」ですね。

自己分析1,000本ノック

本書前半では、メモの効用を挙げ、メモでの思考の深め方を教わりました。後半は人生を変え、夢をかなえるお話。前半はメモに関するノウハウっぽいお話でしたが、ここからが本番、メモの魔力が力を発揮します。

いままでの自分を振り返り、メモをとり、それを「ファクト、抽象化、転用」に構造化して、自分を見つめなおす作業です。ここに『メモの魔力』最大のエッセンスが含まれているのではと思います。

さらに、自分を見つめなおすために前田社長が大学時代に行ったという、1,000問の「自分を知るための問い」が特別付録としてついています。問いかけ自体はシンプルなものですが、これらを「ファクト、抽象化、転用」のフレームワークに当てはめて自己分析をし、深いレベルで自分を理解できれば、かなりの強みになるでしょう。

深いレベルで自己分析をするためのメモ

「敵を知り己を知れば、百戦して危うからず」と言いますが、「己」を本当に知っている人が実は少ない。良く見せたい、自信がない、そういったことから、本当の自分を見失いがちです。本当に深いレベルでの自己分析をして、自分ってこういう人間なんだなと理解できると、強みで攻めたり、弱みは人に頼ったり、うまく立ち回りができるようになります。

ですから、この自己分析メモはとても大切なもので、本書を買ってこの自己分析をやらないのはもったいない。

とは言え、1,000問全部は難しいですし、前田社長も必要なところまで、と仰っています。それでも、最低限レベルの①はやっておきたいところですね。

時間のかかる宿題にはなりますが、この自己分析1000問を、時間を見つけて少しずつ進めていきたいと思います。

まとめ的なもの

メモというテーマとしても、とても興味深い本でしたが、随所にみられる前田社長の人柄がよいですね。前著『人生の勝算』でもそうでしたし、以前のエントリーでも書いたかもしれませんが。前田社長は、誰かについて言及することが多いように思います。歴史上の、といったものではなく、直接付き合いのある方。前田社長が大事にしているという「絆」がしっかりと見えています。

また、大変だったであろう幼少時代のことを、あえて隠さない。これも書中に書かれていますが、逆境を正当化してやるくらいの圧倒的努力と、それを成し遂げるための熱量。これがあったからこそ、こういった逆境を乗り越えて、ひとつの体験談として話すことができるのかもしれませんね。

 

実はこの本の発売日は、最近お付き合いされていると噂の石原さとみさんの誕生日。検索でも、「メモ」の他に「石原さとみ」が紐付いてくるほどの公知の仲なようです。あんな素敵な女優さんが惚れるのも、上記のような人柄によるところにあるのかもしれません。

これもメモの魔力? なわけはないですね。

でも、自分の魅力を見つけるということは、自己分析メモによってできることかなと思いました。

 

最後に、カバーをとった装丁を。

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前田社長、やはりメモ魔、ですね(笑)

  

メモの魔力 The Magic of Memos (NewsPicks Book)

メモの魔力 The Magic of Memos (NewsPicks Book)

 

 

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