『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』×『メモの魔力』
読書の目的として、一つの知識を深めるために同じテーマで複数の本を読むことはよくあることだと思います。そういう読書は、異なる書籍の情報、知識を比較しつつ、情報を整理して知識を繋げ、深めていきます。
また、全く異なる目的で購入した異なるテーマの本の中で、一方はメインテーマで、もう一方は枝葉で、同じことについて語られていることがあります。そのとき両者の主張は、同じこともあれば異なることもありますね。いずれにせよ、複数の本の中で一つのことについて複数のアプローチによる解があって、読み手の中で深まりや閃きが生まれます。
今日はそんな読書間シナジーについて書いてみたいと思います。
『世界のエリート~』×『メモの魔力』
この組み合わせで考えてみようと思ったきっかけから。
『世界のエリート~』
『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』は、コンサルタントの山口周さんの著書です。サイエンス=ロジックがとても大事だというのがこれまでビジネス世界で常識として言われてきたこと。でも、実はそれだけではなくて、アート=直観力も大事ですよ、という主張が繰り広げられます。このアート、直感というものが美意識です。
山口さんは美意識と言っていますが、価値観、判断基準、色々と呼び方はあって、要は自分の軸を持っているか、どう作るかという問題。
『メモの魔力』
もう一方の『メモの魔力』ですが、こちらはSHOWROOM株式会社の前田裕二社長の著書。
メモを書き続けることで多くのことが見えてくる。それを気付かせてくれ、より効率的に、生産性の高いメモを書く方法を提案してくれます。
この前田社長は、自分の軸のことを「コンパス」と言っています。 人生の大海原の中で目指すべき方角を指し示してくれる。とても心強いものですね。
ついでにWEEKLY OCHIAI
今回の2冊から外れますが、1月30日のWEEKLY OCHIAI「学びをアップデートせよ」の中でも、美意識やコンパスに通じることを言っていたので紹介を。
落合先生によれば、ひとつのことをやっていく中で自分の軸ができると、他の分野の方との対談でも自分の立場を表明できる、と。
これも納得ですね。相手の話を抽象化して、自身の経験に置き換えて考えてみる。自身が経験を重ねる中で、軸である美意識が構築されていればこそ、初めて聞く話題に対しても対応がでるようになります。
課題は美意識、メモで解決
さて、『世界のエリート~』を読んで、美意識を鍛えなければ!と思ったものの、美術鑑賞などはなかなか気軽にはできないもの。まずどんな画家がいるのか、印象はとかキュビズムとかそもそもの基礎知識がないので、「見に行こう!」とはいきませんよね。
また、美術館へ足を運ぶのも、物理的にも時間的にも一定の制約がかかります。今年はムンク展やフェルメール展があるようですが、どちらも東京の美術館です。各都市を回ってくれるわけでもないですから、やはりこういうとき地方民は辛いのです。
加えて、美意識=判断基準と考えた場合、アート鑑賞以外の方法で鍛えられる方法もほしいところ。
そんな時にこそ『メモの魔力』が役に立ちます。メモにより、本当の自分を見つめなおすことができます。それは特別付録として最後に掲載されている「自己分析1000問」です。
これは前田社長が学生時代、就職活動の自己分析のために実際に取り組んだものだそうです。1000問全てやり切らなくてもかまいませんが、100、200問やってみると、自分を見つめなおすことができるでしょう。
この自己分析1000問は、幼少時から現在までの時間軸の中で、夢や自分や家族、友人についてひたすら問われます。この問いに答えていく中で、自分がこれまでどういう変遷を経て、今どういった軸が出来上がっているのか、ということが見えてくるでしょう。
さらには今をベースとして、どうなっていきたいのかというコンパスができあがる。『メモの魔力』に取り組むことで、『世界のエリート~』で書かれている「美意識」=「コンパス」を把握し、高めていくことができるのです。
まとめ的なもの
以前から読書と読書の間に生まれる読書間シナジーについて書きたいと思っていました。おそらく読書をする方なら誰しも経験することですし、読書の楽しみの一つでもあると思います。
体験として「これは!」というのは何度もありますが、そういった気付きを書いてみることは初めての試み。なかなか難しいものですね。
上手くできたかはわかりませんが、 これからは一冊の本の紹介だけでなく、このような「読書×読書」、「知識×知識」によって生まれる気付きについても書いていきたいと思います。
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