『最高の休息法』科学に基くマインドフルネスで脳疲労をなくす。
『脳疲労が消える 最高の休息法[CDブック]――[脳科学×瞑想]聞くだけマインドフルネス入門』読みました。
元々『世界のエリートがやっている 最高の休息法』という本があり、これの実践版として、CDブック化されたのが本書になります。
もう1年半ほど前の本になりますから、この手の本としては手を出すのが少し遅すぎですかね。
マインドフルネスは今大いに流行っているため、他にも新刊本はたくさんありますが、ビジネストレンドのように最新を追うものでもないので、あえて少し古いベストセラーを選んでみました。
マインドフルネスは「脳科学」
マインドフルネスの本は以前にも『マインドフルネス瞑想入門』を読んだことがあります。
こちらの著者はマインドフルネス関係の本をいくつか出していますね。
でも、瞑想、浄化、東洋思想と、宗教性を排除しきっていないのがやや気になりました。
私としては、あくまで科学的根拠に基づく、脳科学としてのマインドフルネスに興味があったので、なんとなーく違うかなぁと。
脳みそがどのような悪い働きをしていて、それをやわらげたりするためのスキルとしてのマインドフルネス。
宗教性を排除した、科学によるエビデンスに裏打ちされたマインドフルネス。
そんなものを望んでいたので、今回読んだ『最高の休息法』はドンピシャでした。
なぜマインドフルネスを選んだのか?
私がマインドフルネスに興味を持ったのは、アンガーマネジメントと同じく、感情のコントロールに効果があると思ったからです。
アンガーマネジメントも有名ですし、もちろん効果のあるものだと思います。
ただ、やはり科学的根拠などが明確でない部分もあるので、スキルとして身に付けられるかどうかは人に依りけりという感じはありました。
ひるがえってマインドフルネスはというと、ペラペラとめくれば脳みその図がでてきて、前頭葉だ偏桃体だという言葉が並びます。
また、マインドフルネスを実践した人とそうでない人ではこういう違いが出た、という実験結果も多く、しっかりとエビデンスが示されています。
同じ目的を達成するために、できるだけ効率の良いもの、確かなもののほうが、モチベーションを維持しやすい、というのがマインドフルネスを選んだ理由です。
マインドフルネスの必要性
脳みそというのは、人体のなかで2%の重みしかないのに、エネルギー消費量の内の20%を占めると書かれています。
これはサピエンス全史でも書かれていたので、誇張でもない確かな数値でしょう。
その20%のうちの、60~80%を占めるのが、DMN(デフォルトモードネットワーク )という脳回路だそうです。
間をとって70%として、人のエネルギー消費量の内、14%はこのDMNが占めているということになります。
それだけの大食漢ということは、さぞ深い思考に役立っているのかと思えば、そうでもない様子。
DMNは脳の活動のベースライン、車で言うところのアイドリング状態なのだそうです。
車は信号待ちでもアイドリング状態でガソリンを食いますよね。
DMNも、ぼーっとしているときでも働いていて、無駄にエネルギーを消費しているそうです…。
車がエコ、EVの時代に突入しようとしていますが、脳みそだって省エネ化するにこしたことはありませんね。
実際に、脳に効くのか?
こればかりは実践してみないと腹落ちしない部分ですね。
実験結果などを並べてあっても、母数が少ないとか相関関係があるのかとか、言い始めたらきりがありません。
確かめるには、自分で経験してみるしかありません。
とはいったものの、そんなに簡単に脳が変わることもありません。
書中には、脳の可塑性、構造が変わるとまで謳われています。
ただそこまでに至るには、毎日継続すること、それを数年続けることが必要になってくると思います。
読者がブログでさらっと結果を報告できるほど甘くはありませんね。
マインドフルネスの簡易性
そんなライフワーク的な側面のあるマインドフルネスですが、特徴の一つとして実践の容易性、簡易性が挙げられます。
改めて、本書ではマインドフルネスの特徴を三つ挙げていて、一つは宗教性の排除による実用性、二つ目は修行の要素の排除によるシンプルさ、三つめは脳科学アプローチによる客観性です。
仏教など東洋思想として瞑想を実践するとなると、信仰心やら厳しい修行やら、一般人にとってはハードルが高すぎます。
瞑想による効果が科学的に説明されているとしても、これではなかなか手が出し辛いところ。
そんな瞑想から宗教性を排除することで手段化し、シンプルに、簡易的にしたのが現代のマインドフルネスです。
いつでもどこでも、「やろう」と思ったらできる簡易性が、マインドフルネスの売りですね。
マインドフルネスの即効性
マインドフルネスを実践してみて、あくまで個人的な感覚ではありますが、いつもよりも物事を客観的に見ることができるようになったと思います。
マインドフルネスの実践でストレスや疲労を感じにくくなるには、かなりの時間を要すると思います。
その一方で、「いまここにあること」、「自分を俯瞰してみること」というのはマインドフルネス本の常套句ですので、最初に意識に刷り込まれることですので、否応なしに自分を客観視することに意識は向くというわけです。
マインドフルネスの即効性としては、俯瞰して、客観視する癖がつくということは確かにあると感じました。
まとめ的なもの
Appleのスティーブ・ジョブズが実践していたり、Googleでは会社としてマインドフルネスに取り組んでいたり、シリコンバレーでも人気のマインドフルネス。
でも、ルーツをたどれば東洋思想に行きつくので、本来は日本は逆輸入のような形になります。
雑念を取り除くために座禅を組む。
雑念が入り込んだら肩を叩かれる。
一休さんなどで見かけたアレが、マインドフルネスのルーツというわけです。
宗教心がないことを勿体ないとか、そういうことは思ったこともありません。
でも、マインドフルネスというツールまで放棄してしまったと思うと、とてももったいないように思いました。
日本の働き方はよく言えば「生真面目」悪く言えば「がむしゃら」です。
この生真面目さのおかげで、戦後最速で復興を成し遂げ、高度経済成長に突入できたのだと思います。
ただその一方で過労死が"karoshi"として英語で使われてしまうほどがむしゃらに働きすぎだということも事実。
そんなストレスフルな働き方をする日本人だからこそ、マインドフルネスによって脳疲労を軽減する、そんな休息法を身に付けなければなと思いました。
脳疲労が消える 最高の休息法[CDブック]――[脳科学×瞑想]聞くだけマインドフルネス入門
- 作者: 久賀谷亮
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
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