サラリーマン行政書士の読書日記

本ブログは、サラリーマン行政書士である私が、本業、副業、中小企業診断士に挑戦若しくは奮闘する様及び読書記録を綴るブログです。



古物営業法改正で古物商が注意すべきポイント。

古物営業法改正で古物商が注意すべきポイント。

古物営業法改正の研修会に参加しました

先日、古物営業法改正についての研修会に参加してきましたので、今日は情報共有と注意喚起をしたいと思います。

まず、今回の古物営業法の改正法は平成30年4月25日に公布され、同年10月24日、改正法の一部が施行されております。また、施行は二段階で施行され、全面改正については「改正法の交付から2年を超えない範囲内において政令で定める日」ということです。

この「政令で定める日」がまだ定まっていないのですが、遅くとも平成32年(西暦2020年)4月24日までには全面施行されますよ、ということになります。

古物営業法、改正内容を整理します

ここで一旦、古物営業法改正の10月24日施行と全面施行について、変わった点をまとめてみます。

10月24日施行分概要

10月24日施行では、以下の3点が変わりました。

  • 営業制限の見直し

これまでは以下の制限がありました。

古物商は、営業所又は相手方の住所以外の場所で、買取り等のために古物商以外の者から古物を受け取ることはできない。 

これが、以下のように変わりました。

古物商は、仮設店舗を設けようとする場所を管轄する警察署へ事前(3日前まで)に「仮設店舗営業届出書」の届出をすれば、仮設店舗においても古物を受け取ることができる。

これまでは古物を受け取ってよいのが古物商の営業所と相手方の住所等に限られていたところ、仮設店舗でもそれが可能になります。研修の説明では、イベント会場や、百貨店などのスペースを借りて行うことができるようになったとのこと。期間も一定期間の指定が可能で、半年程度であれば、既に届出・承認の事例があるとのことです。

  • 欠格事項の追加

禁固以上の刑や一部の財産犯の罰金等に係る善かを有することなどを欠格事由として規定し、該当する者は許可を取得できない。

改正後は以下の者が追加されます。

従来の欠格事由に加えて、暴力団員やその関係者、窃盗罪で罰金刑を受けた者

一応厳しくなったということですが、反社会勢力に対してのことなので、一般の古物商事業者にはあまり関係のないことですね。

  • 簡易取消しの新設

許可を取り消すためには、古物商等が3ヶ月以上所在不明であること等を公安委員会が立証し、聴聞(所在不明なら公示)を実施する必要があった。

改正後は…

古物商などの所在を確知できないなどの場合に、公安委員会が公告を行い、30日を経過しても申出がない場合には、取消しの対象となる。

こちらも、実態のない古物商に対する許可の取り消しをスムーズに行うというものですので、ちゃんと古物営業を行っている事業者にはあまり関係なさそうです。

10月24日施行分では、「営業制限の見直し」により古物商許可の利便性があがったということだけおさえておけばよいでしょう。

全面施行分概要

次に全面施行分について。

  • 許可単位の見直し

改正前、つまり現行(○○年○月○日時点)法はこうなっています。

営業所等(古物営業所及び古物市場)が所在する都道府県ごとに古物商等(古物商及び古物市場主)の許可を受けることが必要

これが、改正後はこうなります。

主たる営業所等の所在地を管轄する公安委員会の許可を受ければ、その他の都道府県に営業所等を設ける場合には届出で足りる。

これはとても便利ですね。東海三県で許可を取得する場合、愛知、岐阜、三重それぞれの経由警察署へ行かなければならなかったところが、主たる営業所等が愛知県であれば、愛知県の経由警察署だけで手続きが済むということになります。

とても便利になるんですけど、こんなこと、以前からできなかったのだろうか・・・と思ってしまうのは一般企業の感覚ですかね。

古物営業法、全面施行に先立ち、要注意!!

さてこの法改正、全面施行までにしなければならないことがあります。これをせずにいると、古物商許可が失効し、改正後に改めて許可を申請・取得することとなりますので注意が必要です。

このしなければならないことというのが、「主たる営業所等の届出」です。「等」とあるのは、営業所の他に古物市場も対象だからです。「主たる営業所等の届出」は簡単な書類ですので、早いうちに経由警察署へ提出することをお勧めします。

届出書類は以下の二種類です。

  1. 主たる営業所等届出書
  2. その他の営業所又は古物市場

1.はどの古物商、古物市場主も提出しなければなりませんが、2.は複数営業所で古物商許可を得ている事業者のみのものです。

さてこの「主たる営業所等の届出」、実は届出をすること自体にも、注意が必要になります。どういうことなのか、説明しますね。

主たる営業所等の届出のタイミング

「主たる営業所等の届出」は古物営業法改正の全面施行前に行わなければならないというのは上記の通り。ただ、この届出をした後、改正法の施行前に届出内容に変更があった場合には、なんと、再度「主たる営業所等の届出を行う必要があります。

この再度の届出をしなかった場合、最初から届出を行わなかったのと同じく、改正法全面施行とともに古物商許可は失効、改めて申請・取得をしなければならなくなります。

すごくややこしいというか、正直なところ「ちゃんと届出してるんだから、そんなものは警察で把握しておいてくれよ!」と思います。警察もお役所仕事だなぁと思いますが、それをやらなければ古物商許可が失効してしまうので、やるしかない、といったところですね。

このややこしい書類提出の流れを、わかりやすく例示してみたいと思います。

主たる営業所等の届出というものをしてみんとてするなり

さて私の会社では、本社から離れた営業所で古物商許可を取得しておりますが、今回の古物営業法改正により「主たる営業所等の届出」を提出しなければなりません。そこへ、丁度よいタイミングで複数の営業所で古物商を行いたいという営業所追加事案が発生し、そのうちの一つが本社にある営業本部だった、ということで話を進めていきたいと思います。

この場合何をする必要があるのか、流れを見ていきましょう。

ちなみに、前提条件としてすべての営業所が愛知県内にあるということで話を進めていきます。

いつ「主たる営業所等の届出」をするか?

改正法全面施行の前に「主たる営業所等の届出」をしなければ、古物商の許可が失効してしまいます。ですから、何はともあれこの届出をしたいところ。

ただ、ちょっと待ってください。先にも書きましたが、

「主たる営業所等の届出」後、改正法の施行前に届出内容に変更があった場合には、再度「主たる営業所等の届出を行う必要があります。

という面倒なルールがあります。ですから、この届出をするのは一番最後でなければなりません。こんなこと、BtoBではまず考えられないし、思いやりのかけらも感じないルールだなと思いますが、ルールはルールなのでやらざるを得ませんね。

経由警察署の変更は行えるのか

経由警察署の変更について、これは愛知県が特殊なのかもしれませんが、簡単に変更できてしまうようです。

ネットで「古物商 経由警察署の変更」と検索すると、最初に古物商許可を申請した窓口が経由警察署となり、変えるには経由警察署の管轄区域内に営業所を有しないこととなった場合のみ変更できる、ということが書かれたサイトが多く出てきます。このことは古物営業法施行令9条に明記されていますね。逆に、こうすると変更できます、ということを書いたサイトは見当たりません。

つまり今回のように、最初に許可を得た営業所を廃止するでもなく、新たに営業所を追加しつつ、本社管轄の警察署を経由警察署に変更すること、というのは原則できないことになるはずです。

ただ、そんな不便なことってある?というのが世間一般の感覚ですよね。私も何か方法があればと、確認のため警察に問い合わせたところ、「変更の書類出してください」の一言で終わりました。簡単にできるようです。一体何なんでしょうね。

そんなわけで、「愛知県では」経由警察署の変更は特段縛りなく行えるということがわかりました。

経由警察署の変更と営業所の追加はどっちが先?

「主たる営業所等の届出」は先に出しては再度届出が必要になるので面倒だということでしたが、経由警察署の変更と営業所の追加は、同時に書類を提出してくれて構わないとのこと。

経由警察署の変更は現在の経由警察署へと届出るものなので、一旦は遠方であっても、現在の経由警察署へと書類を提出しに行かなければなりません。

でも、この書類を提出してしまえば、次からは市内の警察署を経由警察署とし、各種届出をすることができてしまうので、とても楽になりますね。

最後に「主たる営業所の届出」をして完了

今回は経由警察署の変更と営業所の追加の二点が、届出内容の変更に該当するものでした。もしまだ、役員が変更になるだとか、本社所在地が変わるだとか、何らかの変更があるのであれば先に済ませてしまいたいところ。

ただ、まだ検討中でいつになるのかわからないだとか、決定はしているけど1年先だというのであれば、先に「主たる営業所の届出」をしてしまいましょう。

これを出していないと許可は失効してしまうので。再度届出するのも面倒ですが、だからと言って失効のリスクに甘んじるわけにはいきませんからね。

さて、この「主たる営業所の届出」というものですが、古物を取り扱う営業所が一つしかない場合は「その1」のみ。複数営業所がある場合は、「その2」の「その他の営業所又は古物市場」も提出する必要があります。

また、他県にも営業所等がある場合は、その県の分も作成する必要があります。要するに、古物商の許可を受けて届出ているすべての営業所を記載して届出る必要があるということ。

今回の例では、全て愛知県内なので、「その1」に「主たる~」を、「その2」に「その他の~」の二営業所をまとめて書いて提出することになります。

以上が今回の古物営業法改正に伴って行わなければならない届出です。

まとめ的なもの

最近は直接業務にはかかわらないような研修が続いたため、久々に実務に直結する研修でした。ただ、研修に参加するだけでは知識も身につきませんし、サラリーマン行政書士でばりばり行政書士業をできないのならなおのこと。

その点今回は、会社でも古物商ニーズがあったために参加した研修ですので、そのまま知識を実務に活かすことができます。サラリーマンとしてはそうなのですが、これを個人事業主である行政書士としてもしっかり活かし、サラリーマン、行政書士の双方両方を業として行いたいというのが本当のところ。

今年の課題の一つは行政書士としてのマネタイズです。収入のバランスはサラリーマンが主だとしても、副業ではなく複業、パラレルキャリアだと言えるように精進してまいります。

プロが教える儲かる「ネット古物商」の始め方

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