『チーズはどこへ消えた?』短くてシンプルな人生の原理原則。
迷路の中でチーズを探し続ける
『チーズはどこへ消えた?』を読みました。
本書はエンゼルスの大谷翔平選手の愛読書として再度注目を浴びましたね。
もちろん、それ以前から定番のビジネス、人生の啓発本ではありますが。
私は『チーズはどこへ消えた?』を読むのは今回が初めてですが、読もうと思ったきっかけは、続編の『『迷路の外には何がある?』―『チーズはどこへ消えた?』その後の物語』が出たことです。
約20年越しの続編ですが、こちらを読むのであれば、元の話である『チーズはどこへ消えた?』から、という単純な理由です。
ずーっと売れている定番ビジネス本
さて、定番の啓発本だと言いましたが、どれだけ定番なのか、ちょっと数字を挙げてみたいと思います。
本は最後のページに発行年月日や第何刷なのかと言った情報が書かれています。
今回私が買ったものを見てみると、なんと87刷と記載されていました。
手元にある新潮社の『ツァラトストラかく語りき』を見てみたところ、60刷でした。
こちらこそ全世界で100年来読まれてきた哲学書のはずですが、それよりもさらに多く刷られています。
さらに言うと、オビには累計400万部突破と書かれています。
2000年刊行ですので、約20年で400万部、一年あたり20万部です。
これだけの数字を叩きだすというのは、最初にわっと売れてあとは尻すぼみ~という売れ方ではなく、毎年コンスタントに売れてきたということでしょう。
短くてシンプルで、抽象度の低い寓話
このお話は、小人とねずみが登場するお話です。
小人やねずみがチーズを求めて迷路を迷うという寓話から、ビジネスや人生のヒントを得ようというものです。
ですが、表紙にチーズや迷路が意味するところが書かれています。
「チーズ」とは、私たちが人生で求めるもの、つまり、仕事、家族、財産、健康、精神的な安定…等々の象徴。
「迷路」とは、チーズを追いもとめる場所、つまり、会社、地域社会、家庭…等々の象徴です。
寓話なのに抽象的な部分を説明してしまっているので、物語からこんなことが学べますよと言ってしまっているようなものです。
ある意味でネタバレのようなものなのですが、これは「物語」としてはどうなのでしょうか…。
学びの意味で言えばシンプルでわかりやすいですし、抽象度が低いのも、まずは理解を高めるという側面はありますね。
みるべきポイントは三つ
『チーズはどこへ消えた?』を読んでいくうえで、心にとどめておくべきポイントが三つあります。
そのうち二つは表紙にも書いてある「チーズ」と「迷路」です。
物語は、小人とネズミがチーズを求めて迷路をさまようというところからスタートします。
一旦は大きなチーズを見つけるのですが、ある日チーズがなくなってしまいます。
ねずみはうまく対応したようですが、小人はこの事態に大慌て。
ひとしきり騒いだあと、迷路の中で彼らはどう立ち振る舞うか、という物語が展開されていきます。
彼らは行動を起こすことに恐怖を感じるのですが、この恐怖がみっつめのポイントです。
この恐怖との向き合い方に、本書のエッセンスが詰まっています。
物語をビジネスに置き換える
チーズや迷路をビジネスに置き換えると、何になるでしょうか。
チーズは利益、シェアでしょうし、迷路はそれぞれ市場ですかね。
物語に当てはめてみると、ステーションCというとても良い市場を見つけ、利益、シェアを獲得したのがスタートになります。
しかし、その利益やシェアがなくなってしまった…。
でも、その市場から離れられない…。
こうやってみると、なんだかよくある光景のように思います。
過去に成功したビジネスモデルにしがみついて、なかなか新領域、新事業に着手できない。
ずっと成功に胡坐をかいていたので、今更チャレンジする風土もなく、変わることをリスクとすら思っている。
本当は、今の市場に残っていてもジリ貧で、早く抜け出さなければ先がないはずなのに…。
恐怖こそ学びのポイント
このように長らく変化に目を背けていると、変わることをリスクだと思い、恐怖を感じてしまいます。
ネズミのスニッフやスカリーのように、毎日匂いを嗅いで変化を敏感に感じ取っていれば、変わらなければならないことも早い段階で感じ取り、心構えをすることができます。
本来、変化はマンネリズムを打破すること、退屈から抜け出すことですから、楽しみなことであって、恐怖ではないはずです。
それが、大きな成功に胡坐をかいて停滞してしまうことで、思考も停止し、楽しいはずの変化を恐怖へと変えてしまうのです。
それでも、ホーのように再度勇気を出して変わることを決意できれば、だんだんと変化することは楽しいことだと気付いていくことができます。
この物語におけるホーの恐怖との向き合い方は、会社で働く者として、大きな学びのポイントだと思います。
まとめ的なもの
昔から書店で目に留まるたびに「そのうちに」と先送りしてきた『チーズはどこへ消えた?』ですが、その理由は分厚いからではなく、逆に薄いからいつでも読めるだろうという…。
今更ながら読みましたが、とてもシンプルに原理原則がまとめられた本で楽しめました。
シンプルゆえに、本質をしっかりと捉えていて分かりやすいですし、ビジネスだけでなく、人生のあらゆる場面に当てはめられそうです。
オビには「ビジネス書の金字塔!」とありますが、年齢は問わない本だと思いました。
寓話ですので小学生でも楽しんで読むことができますし、そのくらいの年齢から何回も読んでいれば、人生に必要な原理原則が自然と身につきそうですね。
さて、次は20年ぶりの続編、『迷路の外には何がある?』を読みたいと思います。
2019/3/21更新
- 作者: スペンサージョンソン,Spencer Johnson,門田美鈴
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2000/11/27
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