『迷路の外には何がある?』ベストセラー待望の続編、信念は変えられる。
ヘムのその後の物語
先日読んでエントリーしたばかりの『チーズはどこへ消えた?』ですが、エントリーの最後にも書いた通り、さっそく続編を読みました。
タイトルは『迷路の外には何がある? ―『チーズはどこへ消えた?』その後の物語』。
前作『チーズはどこへ消えた?』の中で、二人の小人の内の一人、ホーは変化を受け入れチーズを手に入れました。
ですが、ステーションCで動けないままだったヘムがどうなったのか、読者の想像にゆだねられていました。
続編である本書『迷路の外には何がある?』は、 そのヘムが主人公になり、変化していく過程を描いた物語になっています。
2冊揃えて完結する話
続編である『迷路の外には何がある?』を読み終えてまず感じたのは、二冊で一対だなということ。
続編が発売されて読み終えた今だから言えることですが、どちらか一冊だけでは物足りなさを感じます。
『チーズはどこへ消えた?』はチーズ、つまり目的にフォーカスしたものでした。
職場や家庭という迷路の中で遣り甲斐を失ってしまったり、幸せを感じなくなった時に、新しいチーズである遣り甲斐、幸せを探しに行きましょうというお話。
本シリーズはある集まりやセミナーでの会話から話が始まり、その会話の中で紹介される形でネズミと小人の物語が始まります。
そして物語が終わった後は、また会話に戻り、感想や学びを発表し合います。
前作の、最後の学びの一幕。
「そのとおりだよ。新しいチーズというのは、同じ相手との新しい関係のことなんだ」
このことからも、『チーズはどこへ消えた?』では、迷路を変えることよりも、新しいチーズを探すことを説いていることがわかります。
ステーションCからステーションNへと移動しているので、迷路を変えることにも言及しているじゃないかと思われるかもしれませんが、それでもやはり、主となるテーマはチーズではないでしょうか。
ふたつの問題解決手段
続編が出た今、それぞれをチーズの話、迷路の話と定義付けしなおす必要があると思います。
そしてそれぞれがどんな問題をはらんでいて、何を課題として抽出し、どんな解決手段を提示してくれるのか。
そんな視点でこの二冊を見ることで、読み手は二つの異なる問題解決手段を手に入れることができます。
置かれた場所で咲く方法
『チーズはどこへ消えた?』では、上記の通り、「同じ相手との新しい関係」を提示してくれます。
自分の迷路が職場であれば、転職せずに、今の上司との折り合いをつける方法といえるでしょう。
または、つまらないと思っていた仕事の取り組み方を変えることで、遣り甲斐を見つけられるかもしれません。
つまり、今の場所から逃げ出したり放棄するのではなく、視点を変えることで、もう一度向き合おうというものです。
『置かれた場所で咲きなさい』という本がありますが、咲き方が分からなくなってしまうこともあるでしょう。
そんな時に新しい咲き方を考えさせてくれるのが『チーズはどこへ消えた?』です。
線上での移動ではなく、シフトする方法
一方『迷路の外には何がある?』では、前作で置いてけぼりにされたヘムが、なんと迷路の外に抜け出します。
迷路とは家庭や職場の比喩でしたので、それを抜け出したということは、離婚や転職をしたと言うことでしょうか?
いいえ、そうではないと思います。
続編ではありますが、すべての前提を引き継いではいないなと、私は思いました。
今回の迷路は、言うまでもないですが、書中何度も出てくる「信念」です。
この信念とは、うまくいっているときは自分の軸となるものですが、変化が必要なフェーズでは、凝り固まった思い込みになってしまします。
古い信念はあなたを囚人にしかねない
りんごに書かれたこの言葉から、古い信念とは監獄にすらなりえるということがわかります。
他人の意見を否定から入ってしまう人、いますよね。
こういう人は、自分の信念という監獄の囚人になっているので外で起きていることを見ることができず、受け入れられないのです。
もちろん、信念とはこれまでのその人の失敗や成功といった経験の積み重ねでできているので、その人のアイデンティティでもあります。
だから簡単に変えることなんてできない、などと考えていると、ヘムのようになってしまいます。
同じ線上にいると、頑張ってもあまり大きな変化は望めませんが、曲線を左右にシフトさせてしまえば、ドラスティックに変化していくことになります。
まとめ的なもの
二冊とも人生における変化を促してくれる物語ですが、登場人物のホーとヘムがとった行動は異なります。
でも、最終的に二人は良い形で再開することができます。
方法の違いはあってもチーズを手に入れることはできるし、リンゴという選択肢を増やすこともできるのです。
変わり始める前のホーやヘムには、思いもよらなかった新しい世界でしょう。
私たちの生きる世界もまったく同じで、変化することに慣れ、周囲にアンテナを張り巡らせて、信念をアップデートしていかなければなりません。
そうすることで、日々のストレスから解放されるだけでなく、充実感を得ることができます。
かくも短くてシンプルな二つの物語ですが、チーズやリンゴに書かれた言葉は、とても大切な人生の原理原則です。
これらを抽象化して転用することで、人生のあらゆる場面で多くの示唆を与えてくれるものになるでしょう。
『迷路の外には何がある?』 ――『チーズはどこへ消えた?』その後の物語
- 作者: スペンサー・ジョンソン,門田美鈴
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2019/02/27
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