【書評】「士業を極める技術」
「士業を極める技術」
本屋さんでみつけぱらぱらとめくって読んでみたところ、面白そうでしたので、買ってしまいました。
士業を極める技術 (すべての案件を高額報酬に変える「高難度業務」)
- 作者: 横須賀輝尚,菰田泰隆
- 出版社/メーカー: 日本能率協会マネジメントセンター
- 発売日: 2017/10/21
- メディア: 単行本
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読み終えましたので、まとめてみたいと思います。
そもそも「サラリーマン」行政書士なのに、「士業を極める」とはこれ如何に!
という疑問はおいておいて、いってみましょう。
- 「士業を極める技術」
- 士業のマーケティング本は数あれど。
- 「士業を極める技術」は一味違う。
- 主張は至極、当たり前のこと。
- 高難度業務こそ、マーケティングの効果は大きい。
- 高難度業務とは、ブルーオーシャン。
- まとめ的なもの
士業のマーケティング本は数あれど。
書店で士業のコーナーを覗いてみると、資格取得のためのテキストの棚に、マーケティングの本が並んでいますよね。
私が読んだもののなかに「副業としての週末行政書士Q&A60」という書籍もあります。
サラリーマン行政書士としての業務遂行の仕方について書かれています。
以下、過去のエントリー。
www.co-idealblog.com
こちらの本も、サラリーマン行政書士、パラレルキャリアについて書かれているので、参考になる部分はあります。
ただ、一般論的な部分が多く、そのまま使えるようなノウハウも無かったかなと。
また、開業に向けて何が必要かだとか、開業後のDMや名刺の工夫、集客の方法について書かれている本も多いですね。
こちらも興味はあるので手には取るのですが、目次を見てどれもそう変わり映えしないなぁと。
多くはマーケティングの4Pのうち、プロモーション、販促に終始したもの。
それも、一般企業で働いたことがあれば、どれも当たり前のことばかり。
ですので、目次を見たら、そのまますっと本棚に戻してしまいます。
「士業を極める技術」は一味違う。
そんな中、この本は一味違う切り口でした。
高難度業務、マーケティングいらず、そそるキーワードの数々。
そうして気を引いておいて、しっかりと沢山の成功事例を紹介してくれる。
先日のエントリーでやっていきたいと言った国際業務。
この分野の高難度業務で稼いでいる方も紹介されていて、参考になりました。
やはり活躍されている方の具体的な名前、事例がでると、重みがでますし、頭の中でもリアルな肉付けがなされます。
著者である横須賀先生も特定行政書士ということで、行政書士に関する事例が多いのもうれしい。
行政書士を極めたい!と思っていらっしゃる先生。
特にまだ開業したての先生が読むと、ヒントになるのではないかと思います。
主張は至極、当たり前のこと。
では主張は?というところですが、至極当たり前のことばかりです。
悪い意味ではありません。
基本に忠実、という意味です。
そして書中に何度も出てくる「マーケティングは不要になる」というキーワード。
これは一つ、付け加える必要があるかなと思います。
マーケティング不要と言っておいて、その根拠、方法として書かれていることは、実はマーケティングそのものなのです。
マーケティング、いるのかいらないのか、どっちなの?
ということですが、これは「狭義の」マーケティングと「広義の」マーケティングの違い、と考えれば説明が付きます。
高難度業務こそ、マーケティングの効果は大きい。
著者の主張であるマーケティング不要とは、狭義のマーケティングです。
どういうことかと言うと、先に挙げたような、DMや名刺、集客方法についてのマーケティング、4Pのプロモーション戦略が、狭義のマーケティングです。
これが不要になるということを述べています。
ですが、高難度業務を身に付けるということは、4Pのプロダクト、製品戦略を重視するということに他なりません。
それに、どの高難度業務(製品・サービス)を身に付けるのかを決めるには、市場のニーズを細分化し、ターゲットを定める必要があります。
そしてその市場でのライバルを見極めながら、競争の少ないところにポジショニングする。
リサーチ、STP、マーケティングそのものです。
この一般的なマーケティングを、広義のマーケティングと呼ぶことにします。
つまり、書中に言う高難度業務こそ、広義のマーケティング無くしては開発できない商品サービスと言えるでしょう。
標準業務、定型業務の場合のマーケティングは、成功すれば人が集まってきます。
ただ、やれることとしては他の先生と変わらないので、価格競争に陥ります。
製品戦略で負ければ、価格戦略での負けにもつながります。
これらは通常の事業会社で、日常的に起きていることと変わりありません。
高難度業務とは、ブルーオーシャン。
ブルーオーシャンとは、ざっくり言えば競争のない市場のこと。
努力して勉強して、高難度業務を身に付ける。
こういった業務は担い手お少ないので、その市場はまさにブルーオーシャン。
ライバルがいないので価格競争もありませんし、供給が少ないので自然と価格が上がっていく。
需要者側が、その価格ならやーめた、となる手前まで、価格は上昇します。
まとめ的なもの
前書きで「どんなに耳が痛いことを言われようとも」とあったので、厳しいことがかかれているのかと思いましたが、主張は基本に忠実。
士業というとちょっと特殊な職業のようですが、市場原理は一般企業と同じですよ、ということを気付かせてくれる一冊でした。
高難度業務を身に付けるとは、一言で言えば模倣困難な差別化された商品開発を怠るなということ。
マーケティング、企業戦略そのものです。
そういう意味でも、他の士業と中小企業診断士の組み合わせって、絶対シナジーあるだろうなと感じます。
サラリーマン、行政書士、中小企業診断士、なんとかこの三つの組み合わせを実現できるよう、資格の勉強にも励んでいきたいです。