サラリーマン行政書士の読書日記

本ブログは、サラリーマン行政書士である私が、本業、副業、中小企業診断士に挑戦若しくは奮闘する様及び読書記録を綴るブログです。



『小説 吉田松陰』歴史上の偉人と現代ビジネス。

『小説 吉田松陰』歴史上の偉人と現代ビジネス。

吉田松陰からの学びを現代に活かす

今年の一冊目は『小説 吉田松陰』でした。著者は童門冬二。以前にも『上杉鷹山の経営学』や『小説 平将門』を読んだことがありますが、歴史の教訓を現代ビジネスに活かそうと考えたとき、童門冬二の小説はヒントが多いように感じます。

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実際、Wikipediaの童門冬二のページにも、主題として「経営管理、組織論」と書かれています。元々都知事の秘書、政策室長を歴任してきた方ですので、そのあたりのノウハウが詰め込まれているのでしょう。上記エントリーで紹介している『上杉鷹山の経営学』も、会社の集合研修の課題図書であり、上杉鷹山が場面場面でとった行動を取り上げて、組織論を学びました。

吉田松陰については以前のエントリーでも取り上げていますが、深く、響く言葉が多く残されていますね。名言好きですから、また吉田松陰の名言集でも買ってみようかなと思います(笑)

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吉田松陰の小説はいろいろあるけれど

幕末、明治維新と言えば誰?と聞かれれば、吉田松陰はかなり上位にくると思います。久坂玄瑞や高杉晋作という幕末の志士や、明治政府で近代日本を作り上げた伊藤博文、山県有朋等を輩出した松下村塾の先生ということで有名です。

ですから、吉田松陰を扱った小説はたくさんあります。そのなかでも、おそらく本書ほど牢屋の吉田松陰を描いた小説はないのではないでしょうか。

普通は全国を巡り歩いた話や、黒船に乗り込んだ話、松下村塾での塾生との逸話など、華のある部分をクローズアップする物だと思いますが、あえて、野山獄での描写にかなりのページを割いているのには理由があるのでしょう。

おそらく、吉田松陰のまっすぐで前向きな純粋性と、それを組織論に繋げていきたいという意図があるのでしょう。

テロリストとしての吉田松陰

吉田松陰の純粋性は、結局のところ自らの破滅を招きます。とはいっても、吉田松陰は自分で29歳で死ぬことを選んだようにも思えますが。というのも、安政の大獄での処刑は、老中暗殺を画策していたと自白したことが原因だからです。

自ら告白してしまったのはなぜなのか。純粋な心で暗殺計画の意図を説けば、幕府にも考えを受け入れられると思ったのか?それとも、別の覚悟があったのか。本書では、自らの死が同士を奮い立たせる覚悟での自白、という立場をとっています。私もそう思います。

ここで一句。

身はたとひ 武蔵野野辺に朽ちぬとも 留めおかまし 大和魂

これは吉田松陰の句で、確か留魂録に書かれている句です。これを見たら、やはり吉田松陰は死を覚悟の上で、大和魂を貫いたということが想像できますね。

純粋ゆえに原理主義的であり、日本の未来を思いつめた結果、塾生たちに檄を飛ばし、自らの死をもって士気を鼓舞した。このように感じました。

革命家というのはいつも犯罪と紙一重ですね。現政権を打ち倒すことができなければ、正当化されることはありません。ですが、本質的なところは、革命家もテロリストも、変わらないのかもしれませんね…。

現状打破の想いが尋常じゃなく強く、想いを遂げることとなると、周囲が見えなくなる。テロリストとは良い意味合いは全く持たない言葉なのかもしれませんが、あえて「良い意味」で、吉田松陰はテロリストなのだと思いました。

ビジネスと吉田松陰

そんな吉田松陰という男の人生から学び、ビジネスに活かすべきポイントはいくつもあると思いますが、三つに着目してみました。

  1. 基礎体力となる知識を身に付けるための読書量
  2. 知識を活かすための行動力
  3. 好奇心ドリブン

三つめはちょっとこじつけ感ありますが(笑)。一つずつみていきましょう。

基礎体力としての読書 

まずはその臭覚を支えるのは読書。今と違い、テレビやインターネットなどはありませんし、知識を得るためには読書が欠かせない時代でした。吉田松陰はかなりの読書家だったようで、読書による豊富な知識があったから、アンテナに引っかかる情報を処理していくことができたのでしょう。

現代はインターネットもあれば、Amazonもあり、Kindleもあるので、読みたいと思ったら直ぐに知識を得られるインフラが整っています。新たな勉強にチャレンジする環境としては、現代ほど恵まれた時代もないでしょう。

Kindleなら紙の本よりも安いものも多いため、専門外の分野に手を伸ばすハードルはかなり下がっています。私も今まで読んだことのないようなものを、意識的に読むようにしています。そうすることで、今まで見えなかった世界が見えてくるというものです。

知識を活かすための行動力

吉田松陰は読書や勉強ばかりで頭でっかちになるのではなく、全国津々浦々を自らの足で回り、時には藩の許可を正式に得ないまま東北へと出かけてしまうことも。また、浦賀にペリーが来航していると聞いて、黒船へと乗り込みアメリカへ連れて行ってくれるよう直談判します。当時としては打ち首となってもおかしくないような大罪ですが、そのリスクをかえりみることなく、計画を実行してしまいます。

老中暗殺のための武器を貸してもらえるよう藩に申し出たり、自分の命すら倒幕の起爆剤にしてしまう行動力。これは吉田松陰がテロリストと言われる所以ですが、この行動力、実行力は見習いたいものです。

どれだけ知識を付け、問題意識にをもって、課題設定できたとしても、行動して解決しなければただの傍観者です。世の中には行動する者としない者の二つしかありません。行動しないのであれば、知識があってもなくてもなんら変わりません。

最前線に立て!ということではなく、自分の立場、役回りをわきまえて、できることをしていく、ということです。私は、あなたは、会社の中で、今あたえられた場所で、何ができるでしょう?

好奇心ドリブン

知識も行動力もとても大切なものですが、これも先立つ好奇心があればこそ。好奇心もないのに知識を付けようと思うことはありません。義務教育だって、好奇心をもって主体的に取り組んだ子とそうでない子の間に、成績表上の差異が生まれます。

好奇心があったからこそ、黒船に乗り込むという行動力に繋げることができたとも言えます。好奇心とは、考えることですね。現実としての知識や事象を目の前にして、なぜ?なんで?どうなってるの?と考えて、知りたい!となって初めて行動に移すことができるんです。

会社の現状をちゃんと見れば見るほど、問題が転がっていることに気付くはずです。もし見つからないのであれば、それは好奇心が欠けている証拠。もっと会社に興味を持ってみましょう。好奇心を持つことと忠誠心や会社愛とは全く別次元ですので、気持ち悪がらずに会社をよーくみてみましょう。知識を付けて行動すべき何かが、きっと見えてくると思います。

まとめ的なもの

童門冬二の小説はまだ三冊しか読んでいませんが、経営管理、組織論という特徴意外に、主人公をとても魅力的に描いていると思います。それは主人公だからよく書こうというのとは違います。

例えば『平将門』では、愚直すぎてもどかしさを感じる場面も多くあり、カッコいいだとか、完璧とは程遠い人物像が描かれています。でも、まっすぐで、素直で、人間的な魅力を強く感じます。

これは童門冬二の描写力はもちろんのこと、歴史に名を遺す偉人には、偉業を成すための人間力をっているということなのでしょう。この人間力はコミュニケーション力であって、これがあるからこそ自身の知識や行動力を周りに波及させ、自分一人の時の何倍もの力を用いることができたのでしょう。

ノウハウなどのハードスキルと異なり、人間力は一朝一夕には身に付きませんが、こういった面も日々考えて伸ばしていかなければいけませんね。

 

小説 吉田松陰 全一冊 (集英社文庫)

小説 吉田松陰 全一冊 (集英社文庫)

 

 

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